実家近辺の団塊世代、地銀の投信詐欺で一網打尽に

最近、金融庁の森長官が本気で投資環境の改善に取り組んでおり、投信の手数料販売で儲けていた銀行が目をつけられているのはご存知の方も多いと思います。

森金融庁長官の証券会社への怒りは本気か:日経ビジネスオンライン

その効果もあってか、毎月分配型の投信は減少傾向だそうですが、この正月に地元に帰って話を聞いたところ、うちの地元でも団塊世代を中心にアコギな商売が繰り広げられていたようです。

地銀投信詐欺は強固で合理的

今回改めて、買わされた人から実際に話を聞いたり、地銀の商品を確認してみたところ、このビジネスは本当によくできているなぁ、と思わず感心してしまいました。投資ブログを読みに来るような人からすると「あんなもの引っかかる方が悪い、自業自得」と感じるでしょうが、そう簡単な話でもありません。

地銀の投信ビジネスを成立させる要素

地銀の投信ビジネスを簡単にいえば、①老後世帯を中心とした情弱顧客に対し、②儲かりづらい投信を、③他より圧倒的に高い手数料で売りつけ、④値下がりしたら別の投信に乗り換えさせてさらに手数料を稼ぐ、というもので、「回転売買」として有名です。こうしたビジネスは、次のような条件によって成立しています。

  1. 顧客は銀行以外で投資に触れたことがないため、手数料、信託報酬、配当率等の相場をまったく知らない
  2. 銀行の投信ラインナップは全部クソなので、顧客は「投資ってこんなものか」と思ってクソラインナップから選ぶことに疑問を持ちづらい
  3. 購入した投信は手数料や信託報酬が高い上、特別分配で原資をどんどん取り崩すので基準価額がどんどん下がっていく
  4. 基準価額が下がったら、顧客はその投信をやめたくなる
  5. 顧客は分配金の原資はすべて投資による運用益だと勘違いしているため、基準価額が低下したのは自分が選んだ投信の運用成績が悪かったせいだと思っている
  6. よって、運用成績の良い投信を選ぶことができれば、また儲かると思っている
  7. 月利2%程度の分配は普通だと思っているため、世間的に評判の良い商品を勧めても、配当/分配率が低すぎて買いたがらない
  8. 顧客には老い先短い人が多いため、長期的に基準価額を増やしていくインデックス投信に魅力を感じづらい
  9. 情報機器の扱いになれていないため、手数料が低いネット銀行やネット証券への移行が難しい

回転売買は、字面だけで想像するよりもはるかに強力なスキームです。自己責任をちらつかせつつ、クソしか載っていないリストから基準価額が下がるしかない投信を選んで買わせ、下がったら別の投信を買わせてさらに手数料を稼ぐわけです。儲かる投信なんてない方がいいんです。儲かったら買い換えないので、手数料が入りません。基準価額が下がる投信の方がいいんですよ、彼らは。さらに、値下がりで資金自体がなくなったら買ってもらえなくなるので、特別分配金として出ていくのが理想的なんです。

これは、単に手数料が高いとか、銀行には良い投信がたまたま少ないとか、そういう話じゃありません。彼らは一連のサイクルをまわすためにわざとやっています。そういうラインナップや手数料設定ですよ。マイナス金利のせいで収益機会がほとんどなくなっている地銀には同情しますが、地方の老人を食い物にして生き残っている彼らは、痴呆老人相手のリフォーム詐欺師と大差ありません

顧客は悪い投資だと思っていない

しかし、実際の顧客と話をするにつれて、金融庁の頑張りでもこの状況を変えるのは難しいようにも思えます。なにせ、状況を説明した後でも「他に何を買えばいいのかわからない」「預金だとお金が増えない」「年3%の配当だと少なすぎる」「ネット証券なんて使うのは無理」「原資を取り崩していることはわかっているが、わかっていても毎月お金が入ってくるのは魅力的」ってな人たちが非常に多い。投資リテラシーの低さとデジタル・ディバイドが強烈なネックとなって、囲い込みから抜け出すことができないんです。そのせいで、本来なら働くであろう競争原理や自浄作用が完全に失われています。

詐欺に使われる主力投信たち

さてここでは少し視点を変えて、投信詐欺に使われてきた投信たちを紹介します。これらはすべて、私の母およびその知人たちが実際に買ってしまったものです。ていうかですね、投信情報のページに目論見書が一切掲載されていないんですが?◯なと銀行さん?

グローバル・ソブリン・オープン(毎月決算型)

http://thp.qmues.com/mrhp/hhba/docs/g04/g04Index.do?fundCode=0331397C

はいでました。2005〜2010年くらいまで主力だった商品です。半ば社会問題化してしまったこともあり、多くの人は既に解約しているようですが、銀行のサイト上にはまだ現役として残っています。販売手数料は1.62%、信託報酬は1.35%と世間的には論外な水準ですが、今となっては地銀ファンドの中ならかなり良心的な方です。

リーマンショック以降は資金流出が続き、基準価額も低下の一途でしたが、昔は6%あった分配率をどんどん切り下げた結果、今では年率2.3%と比較的常識的な水準に落ち着き、基準価額の低下も一段落しています。

ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(毎月分配型)

http://thp.qmues.com/mrhp/hhba/docs/g04/g04Index.do?fundCode=42311052

2005年から現在に至るまで主力の投信がこれです。購入時手数料3.24%、信託報酬等が約1.8%。2005〜2008年に年利20%を超える特別分配金を出し、大量の資金を引きつけるとともに、12,000円の基準価額をつけました。その後リーマンショックとともに資金が流出、基準価額もずるずると下げて現在は三分の一以下になっています。近年は株高を受けて値下がりペースが鈍っていますが、分配は年率15%をキープしているため、値下がりが止まることはないでしょう。

グロソブにも言えることですが、基準価額はかなり値下がりしているものの、分配金とあわせて考えればそこまで損はしていません。預金での運用と比較すれば、若干プラスである可能性すらあります。もちろん、他の商品を選べる立場からすると、リーマン以降の空前の値上がり益を放棄しているので機会損失は計り知れませんが、銀行窓口でしか金融商品を買えない人にとっては、機会損失はほとんどないとも言えるのが、抜け出すのを更に難しくしています・・・

財産3分法ファンド(不動産・債券・株式)毎月分配型

http://thp.qmues.com/mrhp/hhba/docs/g04/g04Index.do?fundCode=02312038

ピクテの値下がりに不安を感じた人が、資金を一部移動させたのがこのファンドです。購入時手数料はピクテと同じ3.24%。信託報酬は約1%です。購入手数料はクソ高いですが、信託報酬は一時代前の標準レベルといったところ。年利約12%の分配を出していることもあり、上昇相場でも基準価額は横ばいか、やや下落傾向です。信託報酬は他に比べればまだマシですが、タコ配なので基準価額の低下トレンドはかわらないでしょう。何より購入時手数料がおかしい。信託報酬の3倍っておかしいでしょ。

新光ピュア・インド株式ファンド

http://thp.qmues.com/mrhp/hhba/docs/g04/g04Index.do?fundCode=47312065

ピクテの値下がりに不安を感じた人の移住先その2です。購入時手数料はピクテと同じ3.24%。信託報酬は約2%。年1でそこそこの分配金を出していますが、タコ配ではなさそうで、基準価額も近年の上昇相場の恩恵を受けてそれなりに上がっています。銀行員は純粋に善意から、最近上がってることを理由に勧めているのかもしれませんね。老後資産をインドに全力で振り向けさせようとすんなよ・・・人の金だと思って好き放題やりやがって、とは思いますが。信託報酬2%はこれまた一昔前ならこんなもんか、という水準。今となっては完全に時代遅れですが。それにしてもやはり購入時手数料がおかしい。

投信自体は徐々にマシになっているが、手数料はバカ高い

時系列で主力投信を並べてみると、徐々にではありますが投信の中身自体はマシになっています。世間から、おおよそ5〜6年遅れくらいの水準でしょうか。しかしながら、銀行の取り分である購入時手数料には一切の改善が見られず、ネット証券なら全部タダになるような投信でも3.24%をかすめ取っていきます。

静かに失われる老後世帯の余裕資金

いまいち懲りてない地銀

私の母は相変わらず、銀行に行く度に新光への乗り換えを勧められているようです。それで乗り換えたら資産額の3.24%もらえるって、ほんとボロい商売ですよ。家のポストにも、定期的に資産運用セミナーの勧誘ハガキが届いてます。今までやってきたことを棚に上げて、よくもまぁ上から目線でセミナー(笑)になんて招待できるもんです。ハガキを見た時は声出して笑っちゃいましたよ。

何度も言うようですが、これは情報化社会で取り残された老後世代をターゲットとした、確信犯的な詐欺ビジネスです。銀行員は自分が何をやっているのか、ごまかさずに向き合った方がいいです。投資は自己責任とか、行の方針に従っただけとか、そんな言葉で自分をごまかしているかもしれませんが、やってることは詐欺そのものですからね。

地元の老後世帯で地銀詐欺にかかった人たちは、分配金がタコ配だとは知らずに使ってしまい、基準価額が半分以下になっていたことに衝撃を受けて、生活レベルを落とし始めています。年金があるので生活自体は安泰ですが、介護に備えた資産がなくなってしまった家も多いです。こうなると、いざ介護が必要となった際に、子の世代に費用負担がのしかかってきます。そう、団塊ジュニア改め、氷河期世代です。この世代に、果たしてその余裕があるのでしょうか・・・?

金融庁の取り組みは老後世帯を救えない

金融庁の近年の取り組みは、若年層を救うかもしれませんが、老後世代は手遅れでしょう。彼らにつみたてNISAをやるモチベなんてありませんし、通常のNISAなら銀行で高額手数料の餌食になるだけです。何より、多くの世帯では既に、投資の原資となり得る資金が目減りしてしまっています。ここからさらにリスク資産に資金を振り向けるのは危険すぎる賭けです。彼らができることはせいぜい、今後銀行員の投資営業には一切耳を貸さず、目減りした資産を預金で守りつつ支出を絞っていくことくらいでしょう。

彼らの子供である団塊ジュニア世代は、親の介護について意識合わせをするとともに、彼らの資産が思った以上に目減りしていないか確認することをおすすめします。お金のかからない介護プランの存在や、持ち家売却の可能性、リバースモーゲージの活用などについて話しておくと良いと思いますよ。

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