私がインデックス積立投信から撤退しつつある理由

この記事のまとめ

長いです。5000文字あります。

  • 効率の良い投資手法を採用しないのは、求めているものが違うから
  • 必要なのは効率の良い投資ではなく、透明性・安定性・簡便性を備えた収入自動化装置
  • 透明性・安定性・簡便性のためなら、投資効率の低下は必要経費
  • セクター分散、個別銘柄の管理などはまだまだ模索中

最近Twitterでインデックス投資ナイトのレポートが流れてきた中で、とても興味をひかれた一幕がありました。ザリガニさんのレポートから引用させていただきます。

竹川さん:やっちゃダメよではなくてやってほしいことなんですが…。 日常の暮らしの中にある投資スタイルが理想です。無理のない投資スタイルを試行錯誤してください。チャールズ・エリスの言葉に「繰り返し自分を知る」というものがあります。家族のこと、お金のこと、仕事のこと、状況は変わっていきますし、判断できるのは自分自身です。失敗してもいいから、投資を続けられればよいと思います。

山崎さん:投資スタイルはみんな同じでよい。銀行や証券会社は”投資家が自分自身で決められない”という依頼心をビジネスに変えていることに皆さんは気づいた方がいい。人に任せたらダメ。金の問題はしょせん金の問題。金で解決できないことを考えた方がいい。

このお二方のコンフリクトです。お二方の意見の違いは平たくいえば、自分なりの投資スタイルが大事派 vs 投資なんて効率なんだから最終的には最適なものが1つ残る派 とも言えると思います(山崎さんの真意とは少し外れた解釈になるかもしれませんが)。

投資スタイル vs 投資効率

前者の代表例は、優待銘柄投資家配当キャッシュフロー重視の投資家、後者の代表例はインデックス投資家レバレッジETF投資家でしょうか。(なお、インデックス投資家やレバレッジETF投資家でも、投資スタイルの重要性は認めつつ、自分にあったスタイルがインデックス投資やレバレッジETFだった、というスタンスの方もたくさんおられると思います)

私の場合は、特定国へのインデックス投資 → 国内銘柄中期トレード → 世界分散インデックス投資 → 高配当銘柄+優待銘柄投資 と徐々に変わってきており、現在はシャープレシオに代表されるリスクあたりのリターンはあまり追求していません。先程の派閥で言えば、前者「自分なりの投資スタイルが大事派」です。

なぜ私がこの立場に立っているかというと、結局のところ私にとっては、効率よく資産を増やすことはあまり重要な関心事ではなくなったからです。もっと言えば、それよりも重要な関心事が次第に浮かび上がってきて、インデックス投資やレバレッジETF投資はあまり適さなくなってきたからです。

求めるは最効率の投資ではなく収入自動化装置

私の目標である「資産から得られる収入で支出をまかない、経済的に自由になること」のために必要なのは、効率の良い資産の増殖ではなく、収入を自動的に届けてくれるメカニズム、つまり収入自動化装置です。

同じじゃん、と思う人もいるかもしれませんが、これらがほぼ同じだとみなせるのは、投資リテラシーが高く、また手段と目的を構造化して理解できるからです。ブラックボックスとして見た場合、これら2つはまったく違うものですし、付随して求められる性質もかなり違います

安心してリタイアするためには、収入はある程度安定していなければいけませんし、家族に投資リテラシーがあまり高くない人がいる場合は、安定だけでなく、さらに様々な配慮が必要になります。

収入自動化装置が満たすべき要件

私の場合、家族が受け入れられるようにするために、次のような点を考慮する必要があります(これでも足りないかもしれません)。これらは、収入自動化装置が備えるべき要件といえます。

  1. 収入のメカニズムが単純で、容易に理解できること
  2. 収入のメカニズムに忌避感がないこと
  3. 収入が安定しており、その根拠が容易に理解できること
  4. 安定した収入を得るために難しい手順がないこと

家族に投資リテラシーを高めてもらえるなら、どんな投資手段を取っても条件は満たせるかもしれません。しかしながら私の場合、長時間労働の家族に投資の勉強をしてもらうのはとても難しいことでした。少しずつ慣れてはいますが、難しいことはすぐに拒否反応が起きます。これがごくごく普通の日本人の反応だと思います。

このような状況だと、資産を生み出す元はNYSE上場のレバレッジETFで、プランどおりのパフォーマンスを上げるには定期的にリバランスを行い、生活費は証券外貨口座から銀行口座に移して円転し・・・という時点でもうアウトなんです。

インデックス投信でも、資産を取り崩す時点で難しいです。実態としては配当とキャピタルゲインは同じものであり、税制上はむしろ配当が不利だとしても、そんなことは理解されないのです。

資産形成の段階なら、私一人でやっていれば良いことですが、今は徐々に資産形成の色合いを減らし、資産運用の段階に移りつつあります

私はおそらく奥さんより先に死ぬでしょう。それまでに奥さんがどこまで投資に対して理解を深められるかはわかりませんが、できるだけハードルは下げておく必要があります。そのために投資効率を犠牲にしなければならないとすれば、それは必要なコストだ、というわけです。

収入自動化装置の設計方針

収入のメカニズムが単純で、容易に理解できること

世界中の株・REITを保有し、そこから得られる配当や分配金を収入とすることでわかりやすくしようとしています。これは、株が値上がりするからそれを売って生活する、というよりは、かなり単純で理解されやすいからです。分配型投信に人気があるのと同じ理由ですね。

収入のメカニズムに忌避感がないこと

無配の投信やETFを売却して生活するのではなく、配当で生活する形を取ることで、忌避感を低下させています。株が値上がりするはずだからそれを売って生活する、というのと、株から定期的に配当が出るからそれで生活する、というのは、一般人からすると天と地ほど印象が違います

また、株式からの収入に対する忌避感を下げるために、株主優待銘柄も多少組み込んでいます。株からの収入はどうしてもうさんくさく見られがちですが、株主優待で定期的にお得な品物がもらえることは、株式に対する忌避感を下げるためにとても有効だからです。

収入が安定しており、その根拠が容易に理解できること

高配当銘柄中心の投資をすることで、安定性を高めています。また、過去の配当実績の安定性を実感してもらうことで、納得されやすいようにしています。

一銘柄あたりの保有額は200万円程度までとし、50銘柄程度に分散することで安定性を高めようとしています。資産クラスとしても、日本株:J-REIT:外国株を1:1:1程度で保有することである程度のリスク分散を図ります。

配当性向や配当の下限は過去の財務情報やその他IR情報から目星をつけやすいですし、マーケットの値付けより事業収入の方が安定しているので、売却益を収入とするより、配当を収入とした方が相対的に安定していると考えています。

安定した収入を得るために難しい手順がないこと

インデックス投信やETFを取り崩す場合、1銘柄であれば難しくありませんが、資産クラスごとに1〜3の銘柄があったり、取り崩すのは目標アロケーションから上振れした資産クラスで・・・とかはじめるともう無理です。

「収入=配当」であれば、少なくともSBI証券なら直接銀行口座に振り込まれて、振替のひと手間は必要ですがATMから引き出しできます。振替は馴染みの操作なので、単純明快・理解可能です。

ちなみに、手続きのわかりやすさ・簡便性だけを考えるなら、全額を日本株とJ-REITに投資したいところです。証券口座のドルを日本円で引き出す必要があるというのは、結構嫌がられます。ですが、日本の先行きを考えるとそこまでは踏み切れませんでした。奥さん一人になったときのことを考えると、ETFの個別売却までは難しいでしょうが、現預金の引き出しだけならなんとかできるかな、と考えて妥協しています。

これから解決しなければならないこと

セクター・銘柄の分散

銘柄数はある程度分散しているとはいえ、セクターは不動産に大きく偏ってますし、国も日・米・英に偏っているので、まとめてやられる可能性があります。今後5年ほどでもう少し幅広いセクターや地域に分散していくのは大きな課題です。

個別株のリスクと監視コストの解消

比較的安定性の高い銘柄で構成するにしても、業績悪化や倒産もあり得るでしょうし、それを察知するための監視は大きな問題です。できればどこかのタイミングでETFに変換していきたいところです。

日本株は日経高配当株50指数連動ETFが候補で、今はちょうど値ごろになってきています。しかし、信託報酬が高いこと、優待が得られないことがネックなので、もう少し様子見です。

REITは東証REIT指数連動のETFが候補ですが、大型REITの利回りに引きずられて、全体的に利回りが低下してしまうのがネックです。REITの場合、それ自体が不動産投資信託であり、物件として分散されているので、このままでも良いかもしれません。運用面や財務面でのリスクは残ってしまいますが。

外国株はVYM、HDV、PFFあたりが候補ですが、全体的に利回りが低く、割高に見えます。これらが下がったタイミングだと、手持ちの個別株も下がってそうなので、十分な収入が得られるまで買い付けできない可能性があります。

資産形成用に位置づけたインデックス投信の処分

現状すでに700万程度保有している先進国株インデックス投信をいつ転換するのかも悩ましい問題です。指数がピークをつけて、金利が上がり、ディフェンシブ銘柄が下がってくるタイミングで転換するのが良さそうですが、2018年7月現在、ちょっと時期を逃した感・・・。現時点ではまとめて転換できるような銘柄やETFも目星がついていません。

奥さんの資金は今後も半自動で投資に振り向けてはいきたいので、投信積立は継続します。銘柄としては、将来を考慮してVYM連動の「楽天・米国高配当株式インデックス・ファンド」を買い付け、リタイアのタイミングでVYMに変換する目論見です。

少しずつ様子を見ながら組み立てていくスタイル

この収入自動化装置、完成させるまでにはあと5年あります。また、資金も1億円程度かかるので、大失敗すると悲惨です。現状は要件も稼働環境(≒経済状況)も流動的ですし、部材(組み込み資産)の知識も少ないので、一気に設計して作りきるようなやり方ではなく、少しずつ部材を組み込んで、うまく動くか確認しながら作っていく方針を取っています。

こうした方法は、システム開発の世界でアジャイル開発と呼ばれています。アジャイル開発は初期に、車の運転に例えられました。目的地を目指して車の運転をするときに、最初からハンドルの角度を決め、ハンドルを動かさずに出発する人はいません。道路の状況を確認しながら、ずれたらハンドルを切って進路を戻し、ジグザグしながら全体としては目的地に向かっていきます。

こういうやり方を取ることで面倒も増えますが、大失敗も避けられますし、方針に問題があることがわかれば途中で進路変更もできます。理論に基づいてズバっと決めてしまうのも魅力的ですが、私の目指すものや性格を考慮すると、こんな感じのスタイルが一番合っているようです。

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