投資本の雑な感想:金持ち父さんの若くして豊かに引退する方法/ロバート・キヨサキ

やるゲームがなくなって暇になったので、なんとなくロバキヨの本を引っ張り出してきました。ロバキヨの本で一番有名なのはもちろん「金持ち父さん貧乏父さん」ですが、最近誰かが「一冊だけ読むなら『若くして豊かに引退する方法』」と勧めていたので、これを読んでみました。

昔は超人に見えていたロバート・キヨサキ

実はこの本、出版当初に20代で一度読んでます。当時この本を読んでいたときには、ロバートキヨサキが非常に高いファイナンシャル・リテラシーを持ち、なるべくして金持ちになった…という印象が強かったんですが、改めていま読み直してみるとだいぶ異なった印象を受けます。

彼が経済的自由を達成することになった最終的な要因は、日本のバブル崩壊に伴ってハワイの不動産が暴落し、そこで安く不動産をかいまくれたから、というのが通説ですが、その不動産投資のスキルや規模について見れば、現在の洗練されたサラリーマン大家と大差ない、もしくはやや低いくらいに感じます。

彼は経済的自由を手に入れる以前に、唯一成功しかけたマジックテープ財布ビジネスで最終的に失敗してしまいます。その後、小規模な戸建てやコンドミニアムをほそぼそと転売したり運営したりして食いつなぎながら、資産とスキルを蓄えています。

この頃は(当時の価格ですが)主に500万~2000万程度の一軒家を主に扱っていたようで、ぶっちゃけ大した経験や資産には見えません。

準備の度合いで言うならば、少額で株式投資に慣れつつ現金を貯めて、リーマンショック時に株を買いまくれた億り人や、リーマンショックや東日本大震災で地価が暴落した時に賃貸物件を買いまくれたサラリーマン大家と同じようなものだと思います。

彼自身が本で書いているような様々なテクニックや大規模不動産投資のノウハウは、むしろ彼が金持ちになってから身につけたもののように見えます。

ファイナンシャル・リテラシーはどこまで必要か

金持ち父さんシリーズでロバート・キヨサキは、幼い頃から金持ち父さんにファイナンシャル・リテラシーを叩き込まれている様子が描かれていますし、作中でもその重要性は何度も強調されます。

そのため、ファイナンシャル・リテラシーは金持ちになるために非常に重要なものであるように感じられるわけですが、ロバート・キヨサキが実際に早期リタイアできたのは47歳、実に40年もかかっていることになります。

仮に我々がもう一度人生をやりなおし、彼と同じ道を歩めるとします。そうすると、金持ちになるために幼少期から理想的なファイナンシャル教育を受け、リーダーシップを学ぶために軍隊へ行き、営業スキルを学ぶために就職し、退職後はたまにお金を稼げはしてもほとんど無一文で放浪することになります。

そこまでしても経済的自由を達成するのに40年もかかるのであれば、ほとんどの人は(もしかしたらロバート・キヨサキですら)この道を選ばないんじゃないでしょうか。

先程も述べたように、ロバート・キヨサキが金持ちを目指しながら行ってきた事業・投資行動は、そこまでファイナンシャル・リテラシーに裏打ちされたものとは思えません。もし、本当に幼少期に理想的ともいえるファイナンシャル教育を受けたのであれば、もっと早くに経済的自由を達成できていたようにも思えます。

おそらく、実際のロバート・キヨサキは万全とはほど遠い状態で旅立ち、もがきながら様々な専門家や投資家からファイナンシャル・リテラシーの断片を学び、少しずつ起業や投資に慣れていったのではないかと想像しています。そういう意味でも、投資をはじめるにあたって必要なファイナンシャル・リテラシーはそこまで大層なものではないと感じています。

ペーパーアセットに関する辛口な意見

ロバート・キヨサキは不動産、起業、ネットワークビジネス推しの反面、ペーパーアセットに対してかなり辛口です。特に、分散長期投資、株の現物、投資信託に対しては辛辣とすら言えます。

主な理由は、主に不動産と比較して、税制上恵まれていないこと、資金調達が難しいこと、コントロールが効きづらいこと、資産として十分に分散されていないこと、資金効率が良くないこと。このあたりは、ペーパーアセットへの投資で早期リタイアを達成しようとしている人にとっては無視しづらい意見です。

引退するときに大暴落したら?

彼の意見に特に影響を与えたのは、この本が出る少し前に起きたドットコムバブル崩壊と思われます。これによって、ちょうどそのときに引退時期を迎えていた人たちの401kの年金プランは大打撃を受けました。

暴落時期に引き出さなければならなくなったらどうするのか、というのは投資信託の長期投資では繰り返し語られる重要なテーマです。例えばつらおさんなんかは、リーマンショックでのシミュレーションを例に、徐々に引き出すならば大きな影響はない、との意見です。

しかし、リーマンショックは下げ幅こそ大きかったものの、5年ほどで元値を取り戻し、その後の上昇基調も非常に順調と、(奇妙な言い方ですが)かなり恵まれた条件の暴落です。それでも、現金取り崩しより有利になるまでには2017年までかかっているわけです。

1929年の暴落では、元値回復までになんと25年もかかっていますし、2000年代はS&P500すらトータルリターンがマイナスです。リーマンショックのシミュレーションだけで安心するのは難しいでしょう。なんといっても、自分の人生・自分のリタイアは一回だけで取り返しがつきませんからね。

これは余談になりますが、比較的安定した事業を持つ株からの配当でリタイアするというのは、安心材料になりえます。躁うつ病のミスターマーケットよりは、事業収入の方が安定しているのは疑いようがないからです。

じゃあ不動産にするべきなの?

確かに不動産にすれば、減価償却で税金を減らすことができますし、持ち家であれば借り入れや転売時に税制上の優遇措置を受けることができます。資金調達も容易で、レバレッジもかけやすいです。

基本的に住宅価格が上がり続ける米国であれば、不動産投資はまさに鉄板と言えるでしょう。ときどきやりすぎてリーマンショックみたいな出来事も起きますが、それでも住宅価格は長期的に上がり続けています。

しかしながら、日本は長期的に見て住宅価格が下がり続けている国です。都心や一部の地方都市については上昇が見込まれますが、実際のところ、23区内でも沿線や駅からの距離次第で下落する土地がまじっているような状況です。

このような状況では、有望な土地を間違いなく選ぶには目利き力が必要です。適当に買ってもだいたい上がる米国とは、あまりにリスクが違いすぎると言わざるを得ません。

こうして考えると、事業や不動産に明るくない人がペーパーアセットに依存するのは無理もないと思います。しかし、若くして豊かに引退するには、ペーパーアセット、特に分散長期投資が「遅い」投資なのは間違いありません。

早い投資なら早く金持ちになれる?

「早く」金持ちになるためには、リスクを取り、営業、交渉等のスキルを身に着けて事業を起こしたり、不動産の目利きスキルを身に着け、レバレッジをかけて不動産を購入する必要があるのでしょう。

しかし私の場合、20代の頃に感じたのと同じく、とてもそこまでできる気がしませんし、「早い」方法のために色んなことをした結果、引退が47歳なのであれば、そこに大した魅力も感じませんでした。

ゆっくり金持ちになるのも悪くない

バフェットが言うほど簡単とは思いませんが、早く金持ちになるために必要なリスクテイクやコストと比べて考えると、リスクも低く、スキルも必要なく、やはり簡単だと言えます。

無一文の若い頃は「早い」手段で早く経済的自由を手にすることしか見えていませんでしたが、こうして今読み直してみると、「遅い」手段で比較的安全、気楽に金持ちを目指すのも悪くない、と思います。

 

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