投資方針の振り返り:手のかからない高配当株ポートフォリオの難しさ

最近Twitterで色んな投資家さんの投資方針にふれる機会がありました。景況感や市場の先行き不透明もあり、この機会に改めて自分の投資方針とポートフォリオを再確認してみました。

まず前提として、私の投資のKPIは裕福度(不労所得額 ÷ 平均支出額)です。これは、早期リタイアを見据えたもので、普段の支出を不労所得額(≒ 配当金額)でどの程度まかなえるかを示します。また、一度買った銘柄はよほどのことがない限り売らない想定です。よって、ポートフォリオは長期にわたって安定的に配当を排出してくれるであろう銘柄で埋めるのが基本的な方針になります。

ポートフォリオの分類

銘柄の組入れ方針です。本当はあまり個別銘柄を保有したくはなくて、可能なら全てETFにしたいと思っています。しかし、高配当ETFは近年常に高値圏で推移しており、とても買う気が起きないので、リスクを承知で個別銘柄を拾っている状況です。

買い入れ候補の銘柄はざっくりと次の5〜6種類くらいに分けて考えており、分類によって投資比率を決めています。

分類比率/銘柄比率判断基準
主力2±1%事業継続性:高
配当安定性:高
成長性:低〜中
一軍1±0.5%事業継続性:高
配当安定性:低〜中
成長性:低〜中
二軍0.5±0.2%10%事業継続性:中〜高
配当安定性:低〜中
成長性:低〜高
試用期間単元〜0.5%3%割高の可能性があるもの
長期の事業継続性に疑問があるもの
事業をあまり把握できていないもの
優待銘柄単元〜0.3%2%食費削減&奥さん機嫌取り枠
ETF15%高配当株系のETF

大枠としては、事業の継続性と配当の安定性重視で、成長性はほとんど重視していません。事業継続の目安としては、おおよそ20年程度先にも存続していそうなものを購入対象としています。また、物価変動に連動した増配は期待していますが、それを超えた積極的な増配はほとんど期待していません。 ある程度のインフレ耐性がある債権として保有している感じですね。

個々の銘柄の投資比率が低いのは、私のストックピック能力が低いことから、分散してリスクを減じるためです。

保有銘柄との対応関係

えー…正しいかどうかはともかくとして、以下のようなつもりで買い入れました。

主力・NTTドコモ
・キヤノン ?
・J-REIT(住宅)
一軍・J-REIT(オフィス・ホテル) ?
・三菱商事 ?
・三井住友FG?
・ブリヂストン
・JT ?
・BTI ?
二軍・ローソン ?
・住友商事 ?
・東京エレクトロン ?
・NGG
・WBK
・T
・MO
試用期間・みずほFG
・GSK
・SO
・PPL
優待銘柄・すかいらーく
・王将フードサービス
・吉野家 ?
・KDDI
・オリックス
・アトム
ETF・日経高配当株50
・楽天バンガード高配当株
・DGS
・VT
別枠・タイガースポリマー

ほとんどがいわゆるオールドエコノミーの企業です。ただ、「反脆弱性」を記したタレブは、あるモノや組織がこの先存続するであろう期間は、誕生から現在までに経過した期間におおよそ比例する、としています。私が古くさい日本の大型株を好んで保有しているのは、幾分かこれを意識している部分があります。

日本市場は新陳代謝が少なく、固定化された市場の中で長期にわたって事業を続ける企業が多いです。4大財閥が跋扈している韓国も似ているかもしれません。米国に比べるとダイナミズムや成長性に欠けますが、私にとってはわりと好ましい特徴です。

分類が怪しい銘柄群

先程の表ですが、銘柄の後ろにハテナマークがついているのは、現状分類が怪しいものです。例えば、超長期での事業継続に疑問があるもの(キヤノン、金融危機時の各種REIT)、シクリカルな事業比率や財務レバレッジが高く、不況時の配当に不安があるもの(商社、銀行)等です。個別に見ていきます。

主力

事業継続、配当安定性ともに高い銘柄が該当します。必然的に内需のディフェンシブな銘柄になります。

キヤノン:もはや主力扱いは困難か

30年間一度も減配していない、配当金生活者の守護神のような存在です。私も最初期に(適当に)買っていました。強固な財務とサブスクリプション的なプリンタ事業で配当を堅持してきたものと思いますが、事業はだんだんとシクリカルになっているように見えます。近年は財務も悪化気味で、事業の先行きは見えづらくなってきました。主力の一角として投資額もそこそこ大きいこと(とはいえ2%ちょいですが)から、現在PFの懸念先No1です。

今回の決算で全セグメントで減収減益となりましたが、これがシクリカルな要因であれば別に気にはしません。しかし、正直なところ主力のオフィス(プリンタ関連)とイメージングシステム(カメラ、インクジェットプリンタ)はシクリカル要因だけでなく、時が経つほどに需要が減っていく類の事業でしょう。

近年AIの進歩が著しいですが、その主要な果実は画像認識精度の劇的な向上です。これに伴って産業用のカメラ需要はどんどん高まっていくと想定しており、私がキヤノンの保有を続けている理由の1つになっていました。

キヤノンでその果実を取り込めそうなセグメントは現状、メディカルと産業機器その他の2つですが、現状ではネットワークカメラくらいしかその恩恵を受けられておらず、そのビジネス規模も非常に小さいです。これらセグメントでは、主要2セグメントの売上低下を支えられない気配が濃厚になってきました。

そもそも機械・製造業が20年後も日本で元気にやっているかというと、かなり疑わしくも思え、事業の維持という観点からも主力とするのは難しいように思います。というわけで、キヤノンは利益が出ているうちに保有を減らし、主力から除外する方向で検討しています。

一軍

景気循環で配当の増減はあっても構いませんが、事業自体は強固で、長期的に見ると一定の配当が見込まれるような銘柄が該当します。

J-REIT:不況期の資金調達に不安

J-REIT、特に住居系の分配は変動の少ない不動産賃料を原資としているため、平常時は非常に安定しており、事業そのものが数十年単位で継続することに疑いはあまりないでしょう。しかし、J-REITはそのスキーム上内部留保をほとんど持たず、借入と投資法人債に大きく頼った資本構造となっています。不況が深刻化し、資本コストが跳ね上がった場合、順次収益性が悪化していくことになります。

また、現在では可能性は低いと思いますが、債権償還による借り換えや物件購入による決済で資金調達に失敗すると、資産売却による事業縮小や破綻も考えられます。本当にREITをインカムゲインの主力・一軍として良いかは、金融市場がタイトになった時に試されるはずで、それまでは銘柄を分散しつつ保留します。

三菱商事・三井住友FG:累進配当宣言は本物か

累進配当宣言、つまり減配しないと主張しているので一応一軍扱いにしていますが、いずれも非常にシクリカルな事業内容で財務レバレッジも高め。額面どおりに受け取って良いかは、不況期を含めてしばらく時を置く必要があります。様子見、保留です。正直信じてませんが、しばらくは配当出すでしょう。

タバコ:止まらない売上数減少は事業継続にどこまで響くか

高い利益率に基づく配当はしばらくの間続くと思われますが、高所得な先進国では売上の減少が鮮明となっており、新興国や電子タバコの売上拡大がなければ事業は次第に縮小していくはずです。これまでは値上げにより利益を維持してきましたが、どこまで上げ続けられるかはわかりません。また、為替の影響で利益も大きく変動します。正直、10年後以降の姿は予想がつきませんが、5年くらいは様子を見ようと思っています。

二軍

長期的な事業の継続性、配当の安定性に何かしらの不安がある銘柄が該当します。そのかわり、一定の成長シナリオを見込んだものも含まれます。とはいえ、単に配当に釣られて買ったものも多いです。

住友商事:不況期の配当政策を要確認

こちらも配当頑張るみたいなことを言っていますが、事業が事業なのであまり期待はしていません。とはいえ、最近は多少ディフェンシブなセグメントの比率も高まってきており、もしかしたらある程度は配当を維持してくれる可能性もあります。期待はせずに様子見、保留。

東京エレクトロン:PFの異端児 馴染む気配もないが自省を含め継続

とりあえず買値が悪すぎました。半導体サイクルのほぼ天井で掴んだ後にマイナス40%まで下がり、最近再び買値付近まで戻ってきました。半導体サイクルって景気循環とは別なんですね…無知がやばい。

基本的にはAI/IoTでの半導体需要増加の恩恵があるかと思って単元で買ってみたんですが、どうもあまりそっち方面には強くなく、むしろDRAMに強い模様…。本当に適当に買いすぎました。配当に釣られたとしかいいようがなく、反省しかありません。資料読んでも主要顧客もよくわからなくて、事業の状況がイマイチ掴めないんですよね…。

いずれにせよ超シクリカルで安定配当にはほど遠く、事業継続も不透明と今後主力になる見込みもない銘柄ですが、まぁ単元分だけだし明らかに失速するまではほっとくかな、という状況。

ローソン:コスト構造を転換できるか

こちらは既に減配見込みを発表しており、配当の安定性には大きな疑問があります。事業自体はおそらく20年後も何かしらの形で残っていると思いますが、人件費増や嵩む投資に押されて利益は下落傾向です。

とはいえもともと大した金額を入れていませんし、事業自体は盤石だと思っているため、現在進めているであろうコスト構造の転換結果を見届けようと思います。そこまでは投資が嵩むでしょうが、最悪でも競合に買われる程度でしょう。

優待銘柄

生活コスト低減+奥さんのご機嫌取り用。生活の範囲内で使える銘柄のみを購入。外食のコスト増は、この先ある程度価格やサービスに転嫁できる前提で目をつぶって買っている部分あり。また、投資全体に占める比率も低く、壊滅しても問題ない部分です。

吉野家:経営陣に不安

飲食はどこもコスト増に苦しんでいますが、中でも吉野家は真っ先に赤字転落しています。毎期のように店舗改装費用を特別損失計上しており、それほんとに特損なの?店舗改装続けないと売上維持できないほど収益力が低下した状態なのでは?と疑ってしまいます。

フラッグシップ的な店に実際に行ってみましたが、居心地も悪く、商品もあまり良くありません。オペレーションの効率も良さそうに見えません。ここから巻き返そうと思うなら、さらに大規模な店舗の改装とオペレーションの効率化が必要に思え、そうなるとかなりの投資になるでしょう。

客自体は入っているし、根強いファンもいるようなので、事業が継続できなくなるということはないでしょうが、コスト増への対応が鈍く、非常に先行きが不安です。まぁ投資金額的にはどうなっても構わないんですが、なんとも不用意に買ってしまったな、という銘柄。

振り返って:配当の継続性を見通すのは非常に困難

今回保有企業の配当や事業についてざっくり再確認しましたが、数年ならともかく、10年以上となると確たることはほとんど言えなくなってきます。超長期にわたって、事業はともかく配当の継続性・安定性が高い企業を見通すためには、将来の利益を見通す必要がありますが、企業が超長期で利益を維持するためには広大なmortが必要です。これを見通すにはバフェット並の目利きが必要と感じます。

また、投資対象を高配当銘柄に絞ると、どうしても銘柄が限られてしまうのも問題です。資産バリュー株にもほとんど手が出せませんし、ディフェンシブで固めることも難しく、結果的にシクリカルな銘柄がたくさんポートフォリオに入ってきています。

結局のところ、個別銘柄で低メンテナンスな高配当ポートフォリオを構築する、というのは私には荷が重いのでしょう。今後は、以下のようにやや投資方針を変更することも検討しています。

  • 高手数料や低分配率を甘受してETFへ切り替える
  • ある程度の頻度でメンテナンスする前提で、銘柄数を減らし、定期的に入れ替える
  • キャピタルゲイン狙いの銘柄を併存させる
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