投資本の雑な感想:バフェットの重要投資案件20

バフェットの投資案件を前期、中期、後期に分け、代表的な20の投資案件を振り返る本です。投資案件のリストは次のようになります。最近の投資は少ない印象ですね。

  • 前期(BPL時代)
    • 1958:サンボーン・マップ・カンパニー
    • 1961:デンプスター・ミル・マニュファクチャリング・カンパニー
    • 1964:テキサス・ナショナル石油
    • 1964:アメリカン・エキスプレス
    • 1965:バークシャー・ハサウェイ
  • 中期
    • 1967:ナショナル・インデムニティ・カンパニー
    • 1972:シーズキャンディーズ
    • 1973:ワシントン・ポスト
    • 1976:ガイコ
    • 1977:バッファロー・イブニング・ニュース
    • 1983:ネブラスカ・ファニチャー・マート
    • 1985:キャピタル・シティーズ/ABC
    • 1987:ソロモンへの優先株投資
    • 1988:コカ・コーラ
  • 後期
    • 1989:USエア・グループ
    • 1990:ウェルズ・ファーゴ
    • 1998:ジェネラル・リ
    • 1999:ミッドアメリカン・エネルギー・ホールディングス・カンパニー
    • 2007:バーリントン・ノーザン
    • 2011:IBM

特徴としては、当時入手できた情報のみを用いて改めて企業価値を推定し、バフェットと類似した投資判断に至ることができたかを1つずつ見ていく点ですね。投資判断には、EV/EBIT(Acquirer’s multiple)、ROCE/ROTCE(投下資本利益率)を主に使い、時折PERやPBRも使っています。EV/EBITについては以下の本が詳しいです。

シケモク投資

資産に注目した割安株に投資する手法です。シケモク投資は前期に多いですが、バフェットの場合は単に資産面で割安なだけで買うのではなく、きちんと事業内容を精査し、何かしらの形で事業を立て直す算段や目利きをした上で参入しているのが印象的です。

また個人投資家の場合、カタリストは待つしかないですが、バフェットの場合は経営をコントロールできる状況まで買い増し、バフェット自身が取締役会に入ることで強制的にカタリストを起こしてきています。これが個人のシケモク投資と比べて高い資金効率と利回りを実現できた秘密なのかなと感じました。

優良銘柄に適正価格を払う投資

前期の終盤、アメリカン・エキスプレス以降はシケモク的投資が次第に減っていき、いわゆるバフェット的な強固な競争優位性を持つ優良企業への投資が増えていきます。Amexに加え、中期の投資はほぼ全てが当てはまります。

優良銘柄への投資は誰でもできる?

著者は巻末で「中期以降の投資は誰にでもできる」と書いているんですが、私の印象は逆でした。中期以降の投資は特別割安な銘柄を買っているわけでもないし、経営に関与するアクティビスト的な動きも少ないため、確かに結果から見れば個人投資家にもできるように思えます。

ただ、中期以降の大型優良株は、財務諸表を見ただけでは他の(当時の)優良銘柄との違いを見つけることはやはり難しく感じます。資産や利益面での実績から判断すると、決して割安ではないんですよね。このため、投資を決断するには事業に関するより深い知識や理解が必要です。今後も長期間成長し続けることを考えると安いよね、という感じ。

これは前期のシケモク投資の時点で片鱗を見せていましたが、中期の投資で大きく花開きました。さらに、保険、メディア等特定の業界に精通していくことで、事業の将来見通しに関する目利きも深まっていったようです。

その他の投資

中~後期には長期保有の優良銘柄だけを買っていたような印象がありますが、バフェットからの手紙でも触れられているように、合併アービトラージでの短期利益狙いや、優先株で社債的に投資したり、転換権で中期的な利益を狙うような投資も行っています。

さらに、中期~後期になっていくと、事業のシナジーを重視して高値購入したりと、さらにバリエーションが増えていきます。なかにはそれは成功なのか…?という投資も増えていきますが…。

優先株を通した債券的投資

ソロモンへの優先株投資、USエア・グループへの投資がこれに当たります。どちらも、素晴らしいとまでは言えない銘柄に対して、ある程度の安全性を確保しつつ、債券より大きなリターンを得るための投資でした。

どちらも波乱に満ちた経緯を辿った末に大きな利益を得ることはできましたが、波乱に満ちた経緯自体がバフェットの懸念が正しかったことを証明しているとも言えそうです。

合併アービトラージ

キャピタル・シティーズ/ABCへの投資がこれに当たります。あまり興味がなかったのでざっくりとしか読んでません!

事業のシナジーを見据えた投資

こちらは、ジェネラル・リが該当します。事業としてもバリュエーションとしても特別優れていたわけではありませんが、ガイコとのシナジーを考慮して投資したことが明らかにされています。

感想

  • バフェットが持つ投資の引き出しは非常に広く、決していわゆる”バフェット銘柄”にこだわっているわけではない
  • シケモク投資ができるならそう悪くはないが、カタリスト不在のリスクはある
  • 資産規模が拡大してくると割安な投資先を見つけるのは難しい
  • 何度も同じ業界・銘柄に投資して業界やビジネスに精通していくことは有用

一部の非公開企業については財務情報がありませんが、多くの投資案件で当時の財務諸表を元に自分のスタイルなら投資判断に至るのか?1つずつ確認していくのは非常に面白い体験でした。とかく実例が不足しがちなバリュー投資本の中で、ここまで具体的な事例が豊富な本は珍しいでしょう。バリューの練習問題集としていかがでしょうか。

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