投資本の雑な感想:いますぐプライベートカンパニーを作りなさい!

配当リタイアを目指している人は資産管理会社を作ると得だよ!というtweetが先日少しバズり、米株・リタイアクラスタでも話題になりました。興味のある人が集まって色々と議論したものの、専門知識を持っている人がおらず、結論が出ず解散。少しまとまった知識を得るために借りてみたのがこの本です。

目次は以下のようになっています。

第1章 これからのサラリーマンはお金を残せるのか?
第2章 サラリーマンはプライベートカンパニーという“お金の貯水池”を作れ
第3章 サラリーマンは控除を使い切るべし
第4章 サラリーマンよ、プライベートカンパニーを立ち上げろ
第5章 妻をプライベートカンパニーの従業員にしてお金を残せ【お金を残す実践編1】
第6章 妻をプライベートカンパニーの経営者にしてお金を残せ【お金を残す実践編2】
第7章 田舎の親をプライベートカンパニーの経営者にしてお金を残せ【お金を残す実践編3】
第8章 お一人様にも効果絶大、不動産によるセーフティネットの作り方【お金を残す実践編4】
第9章 サラリーマンよ、自分の“会社”=“法人”を設立してお金を残せ
第10章 その“会社”は誰のもの?

FP3級税知識+薄い法人情報+4つの具体例

内容は平たくいえば、FP3級程度の税知識+薄い法人情報に4つのケーススタディを加えたもの。1章は税金や社会保険料が増えてサラリーマンの今後は暗いですよ~というおなじみのお話で、2~3章はFP3級レベルの税の知識。このあたりは確定申告をしているような人にとっては常識に近い内容です。

プライベートカンパニーの話が本格化するのは4章からで、ここで節税スキームの超概要と利点欠点を、白色申告の個人事業、同青色、株式・合同会社を比較して述べています。このあたりも、興味を持ってぐぐればおおよそわかる範囲の話でした。

5~8章のケーススタディは、親族に出す給与はどの程度までならセーフなのか、業態ごとに許される経費はどの範囲なのか、といったネットではなかなか出てこない情報が載っており、一番参考になった部分です。

問題と感じた点

ただざっと読んだだけでも、気になった点がいくつかありました。具体的に挙げていきます。

プライベートカンパニーの利点と事業の利点が混在

本書では、タイトルのテンションからも想像できるとおり「プライベートカンパニー最高!」という話が随所でなされています。なされていますが、その半数以上はプライベートカンパニーというスキームではなく、そこで扱っている事業から得られる利点です。特に”成功した”不動産投資ですね。意図的かどうかわかりませんが、これらが混在した記載が随所で見受けられ、若干不信感を持ちました。

バラ色の未来を描いた事例の前提が非現実的

利点の混在の延長線上にあるのですが、バラ色の未来を描いた事例としてワンルームマンション投資の収支計算が出てくるのですが、この物件、利回りが15%近くあります。空室なしの前提ですし、こんな投資ができるのであれば、プライベートカンパニーどうこうの前に、金銭的に余裕ができるのは当然です。

後半であらためて不動産投資を紹介する場面では、ワンルームだと新築で4%、中古でも8%程度が上限と述べていたりして、全般的に不動産投資に関する紹介が雑に感じられ、プライベートカンパニーの利点との混同とあわさり、非常に嘘くさい語り口になっているのが残念です。

不動産の営業じみたパートが多すぎる

筆者自身が不動産投資で成功しており、他に不動産投資の本も出していることもあって、とにかく不動産投資を持ち上げるパートが多すぎます。不動産投資がプライベートカンパニーと非常に相性が良いのは疑いありませんが、不動産投資をすれば成功が約束されているわけではもちろんありません。

特に本書が出た2016年以降は不動産価格が高止まりし、特にワンルームは利回りが相当程度低下しているため、不動産投資にはかなり慎重になる必要があると思います。

物足りない点

節税の事例も不動産に偏りすぎ

これはもう仕方がないのでしょうが、事例が不動産中心のため、その他の事業の人にとってはどの程度金銭的効果が得られるのかイメージがつきづらいです。特に私の場合、想定している法人所得が株式の譲渡益や配当で、これらは個人でも税率が低く扱いが特殊なため、あまり参考にできませんでした。

観点が網羅的でなく散発的

利用できる節税手段や経費化の方法は、筆者が知っている範囲で散発的に記載されているのみで、なにかの観点で網羅されたものではありません。社宅、生命保険、退職金等に関する記載は軽く触れられた程度で具体的な話はほとんどありませんでした。

株式会社、合同会社に関する記載が薄い

筆者はプライベートカンパニーを勧めてはいますが、そこには青色申告・白色申告の個人事業も含まれており、むしろ大半の人にとっては法人化まで必要となるケースは少ないと考えているようです。このことから法人に関する記載はかなり薄くなっており、特に役員絡みの話が少なかったのは残念でした。

結論:資産管理法人向けには相当物足りない

資産管理会社と言えばどうしても不動産中心になってしまい、株式中心の資産管理会社について書かれた本はやはり少ないですね。引き続き漁っていこうと思います。

類似ブログのランキング&応援はこちら

にほんブログ村 株ブログ 高配当株へ にほんブログ村 株ブログ インデックス投資へ にほんブログ村 株ブログ REIT・不動産投信へ

コメントを残す