投資本の雑な感想:完全なる投資家の頭の中

原題はCharlie Munger The Complete Investor。バフェットのパートナーであるチャーリー・マンガーの発言やそこから推察できる考え方を、グレアム投資の枠組み・観点を使って整理した本です。平たくいえばマンガー発言集ですね。

ちょっと長いですが、公開されている目次をさらに一段下まで書き下してみました。マンガーの発言をひとつひとつ取り上げるわけにはいかないので、マンガーの発言に沿うように著者が考えた枠組みの紹介が本書のすべてとも言えるからです。

第1章 グレアム式バリュー投資システムの基礎
第2章 グレアム式バリュー投資システムの原則
1. 株は一株でも会社の一部を所有しているつもりで扱う
2. 安全域を作り出すために、本質的価値よりもかなり安く買う
3. 「ミスター・マーケット」を、主人ではなく、しもべとしなければならない
4. 合理的で、客観的で、冷静でいる
第3章 智慧
第4章 間違いを犯す心理
1. 報酬と罰による超反応のバイアス
2. 好意と愛情のバイアス
3. 嫌悪と憎悪のバイアス
4. 疑おうとしないバイアス
5. 矛盾を避けるバイアス
6. 好奇心によるバイアス
7. カント的公正さを求めるバイアス
8. 羨望と嫉妬のバイアス
9. 返報性のバイアス
10. ささいな関連性に影響されるバイアス
11. 単純に痛みを避ける心理的否認
12. 自信過剰のバイアス
13. 過度に楽観視するバイアス
14. 保有しているものは手放したくない愛着バイアス
15. 社会的証明を求めるバイアス
16. 対比による誤反応のバイアス
17. ストレスの影響によるバイアス
18. 身近なデータを過大評価するバイアス
19. 能力は使わなければ失われる
20. 薬物などの悪影響
21. 老化の影響
22. 権威の影響によるバイアス
23. たわごとを言う人たち
24. 理由を尊重するバイアス
25. ロラパルーザ効果
第5章 必要不可欠な資質
1. 忍耐
2. 規律
3. 冷静さ、そして勇気と決意
4. ある程度の知識は必要だが、知能指数の高さは必要ない
5. 誠実さ
6. 自信は持ってもイデオロギーは持たない
7. 長期志向
8. 情熱
9. 勉強熱心
10. 同僚
11. 健全な気質
12. 倹約
13. リスク嫌い
第6章 グレアム式バリュー投資システムの八つの変数
1. 会社の本質的価値を見極める
2. 適切な安全域を見極める
3. コアコンピタンス領域の範囲を見極める
4. ひとつの証券をどれくらい買うか決める
5. 証券をいつ売るか見極める
6. 割安の資産を見つけたときにいくら投資するかを決める
7. 会社の質を考慮すべきかどうかを決める
8. どのような会社を所有するか
第7章 会社経営において必要不可欠な資質
1. 資本配分の能力
2. 株主と利害が一致する報酬制度
3. 堀を広げる能力
4. すでに誠実な経営者がいる
5. まれにいる並外れた経営者
バークシャーの計算方法

1. 供給側の規模の経済性と範囲の経済性
2. 需要側の規模の経済性(ネットワーク効果)
3. ブランド
4. 規制
5. 特許と知的財産
バークシャー自身の堀
1. バークシャーは節税がうまい
2. バークシャーは諸経費が安い
3. 会社はできればバークシャーに売りたい
4. バークシャーは永久資本を持っている
5. バークシャーは下落相場でマーケットを上回るパフォーマンスを上げる
6. バークシャーはフロートの恩恵を受けている
7. バフェットと漫画ーを含む質の高い株主がいる
バリュー投資とファクター投資

以下、簡単に本書のストーリーを記します。

著者が考えるグレアム投資の枠組みと資質

冒頭ではグレアムの投資そのものについて非常に簡単に述べています。あくまでマンガーの発言をもとに断片的に語られるのみなので、これは賢明なる投資家(と証券分析)を読んだ方が良いでしょう。

続く第2章ではグレアム投資の原則が語られますが、本書では4つめの原則である「合理的、客観的、冷静であること」が最も重要視されており、第4章ではこの4つめの原則を妨げる多くの要因が、人間固有のバイアスを中心として滔々と語られます(目次の大量の項目をみてみてください…)。何より妨害要因について多く語るのは「反対から考える」「悪いことが起きるならそこには近づかない」というマンガーの考え方が伺われます。5章では一応、原則を貫くために必要な資質を正面から語ってもいます。

グレアム投資のバリエーションと変数

著者はグレアム投資を必ずしも簿価ベースのシケモク投資に限定せず、カスタマイズ可能なパラメータが多く含まれたシステムと考えています。6章で語られる「変数」はこのパラメータのことで、本質価値の算出方法、安全域のとり方、ターゲットとする領域、分散度合いと賭け金の大きさ、会社の質や堀の広さ等は投資家によって様々であることが示唆されます。ただ、マンガーの好みは当然近年のバークシャーのようなスタイルです。

マンガーからの手紙 抜粋版といった趣き

その後、オーナー利益の考え方や堀を構成する要素等についてマンガーの発言がまとめられていますが、基本的にはバフェットの発言とかなり近いです。やはりマンガー節全開なのは4章の「間違いを犯す心理」の部分でしょうね。アニマルスピリットによるバイアスを避けて合理性と冷静さを保ち、絶え間なく知識を蓄え、知識をもとに様々なメンタルモデルを構成し、複雑な計算に頼らずモデルを組み合わせて考える。言うは易く行うは難しですが、目指す理想の一つとしては魅力的です。

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