公的年金控除の対象となる年金、全て把握していますか?4箇所から支給されることも

iDeCoで盛り上がりつつある確定拠出年金。税制メリットが大きく取り上げられていますが、受け取り方については明確なイメージがない人も多いんじゃないでしょうか。ざっくりと言えば、確定拠出年金の受け取り方には次の2種類があります。

  1. 一括で全額受け取る一時金
  2. 少しずつ受け取る年金

受け取り方で税額が変わる

これらのお金は受け取るときにも税金がかかります。ただし、それぞれの受け取り方ごとに「退職所得控除」、「公的年金に係る雑所得」の控除が設定されており、ある程度の額までは税金がかからないようになっています。それぞれで控除できる額が異なる上、控除の対象になるのは確定拠出年金だけではなく、他の年金や退職金も含まれます。つまり、受け取り方によっては控除分をはみだして税額が増える可能性があるということ。逆に、なるべく控除の範囲に収まるような受け取り方ができれば、税額を減らすことができるはず。だとすると、有利な受け取り方をするためには控除の対象となりそうな「退職金」「年金」を把握しておく必要があります。自分のことですらいまひとつよくわかっていなかったので、調べてみました。まずは年金からです。

主な年金制度

公的年金控除の対象となる年金の支給元を把握するために、まずは制度のレベルでどのようなものがあるのかつかんでおきます。年金制度の説明で決まって出てきてうんざりする、あの3階建ての話ですが、これ以上簡単な説明は難しい・・。

  • 1階部分:国民年金(全国民が加入)
  • 2階部分:厚生年金(会社員や公務員が追加的に加入)
  • 3階部分:確定給付・拠出年金等(一部の人が追加して加入)

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出典:企業年金連合会

国民年金と厚生年金は基本的には国が運営しているので、受け取るのも国(日本年金機構)からになり、これらはすべて控除の対象となります。厚生年金基金に加入している人は、厚生年金も厚生年金基金から受け取ることになりますが、これもやはり控除の対象です。

とにかく複雑な3階部分

3階部分はどんどん複雑になっており、年金制度の理解をさまたげる元凶になっています。この部分はさらに細かく次のようにわかれており、これらは正確に言えば公的年金ではありませんが、すべて控除の対象です。

  1. 厚生年金基金
  2. 確定給付企業年金(DB)
    • 規約型
    • 基金型
  3. 確定拠出年金(DC)
    • 企業型
    • 個人型

3階部分はかつては厚生年金基金のみ(適格退職年金は今回は話から除きます)でしたが、厚生年金制度が事実上終了になり、次の図のような形で再編されました。現在は厚生年金基金からDB・DCへの移行が進んでいます。とはいえ、厚生年金基金加入者がまだ300万人以上いるのが驚きです。

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出典:企業年金連合会

厚生年金基金

厚生年金基金は、国の運営する2階部分の厚生年金と、企業の運営する3階部分の退職金・企業年金制度を調整・統合運営する組織です。多くは、2階部分の厚生年金を代行運用しつつ、3階部分も独自運用しています。現在は2階の代行運用部分が国に返上されて原資が国に移管されていっており、3階の運用部分も基金型の確定給付企業年金に移管されていることが多いようです。

確定給付企業年金

給付額が決められている見知った年金に近いイメージの制度です。この制度はさらに、企業自身が運営する規約型と、別組織で運営する基金型にわかれています。確定拠出年金は近頃話題になったので、企業型と個人型の二種類があることを知っている人は多いと思いますが、確定給付年金も二種類あることは知らない人も多いんじゃないでしょうか?

これらの企業年金は企業ごとに1つしか運営できないわけではなく、複数同時に運営することもできるので、「うちは確か確定拠出年金やってるから、これだけおさえておけばOKだなー」などと考えていると、併存している他の制度を見落としているかもしれません(実際私の勤務先では、三種類の年金制度が同時に運営されていました)。

確定給付年金の親玉:企業年金連合会

基本的には企業や企業に関連した基金を意識しておけば良いですが、基金が解散したり、脱退したには自分の年金が企業年金連合会という元締め的な組織に移管されていることがあります。こうした場合は受給資格を得られ次第企業年金連合会から年金が支給されることになります。

年金の支給元

とまぁこんな形で、組織の単位で年金の支給元を見れば、国(日本年金機構)、企業、厚生年金基金、企業年金基金、企業年金連合会、iDeCo運営管理機関/事務委託先運営機関の6つになります。既にだいぶややこしいです。

しかし実際のところ、組織としては同一でも制度が異なれば資金の管理も異なり、手続きも個別に行う必要があります。そうした状況も考慮して支給元ごとに分けて考えた場合、以下の7種類になります(国民年金と厚生年金は手続き的に同じなのでまとめました)。

  1. 国民年金・厚生年金@日本年金機構
  2. 確定給付企業年金・規約型@企業
  3. 確定拠出年金(企業型)@企業
  4. 確定給付企業年金・基金型@企業年金基金
  5. 厚生年金基金@各厚生年金基金
  6. 厚生年金基金@企業年金連合会
  7. 確定拠出年金(個人型)@iDeCo運営管理機関/事務委託先運営機関

ちなみに、ねんきん定期便や、日本年金機構のウェブサイトで確認できる年金支給額は、国が管理している1. 国民年金・厚生年金のみです。その他の組織から受給できる年金の見込額を知りたい場合は、各組織(場合によっては企業年金連合会も含む)に問い合わせる必要があります。

私の加入している制度

私が加入している公的年金制度は、しらべてみると次のような状況でした。

  1. 国民年金・厚生年金:日本年金機構
  2. 確定給付企業年金・規約型:企業 → 4. 確定拠出年金(企業型)へ移行
  3. 確定給付企業年金・基金型:企業年金基金
  4. 確定拠出年金(企業型):企業
  5. 厚生年金基金:各厚生年金基金 → 2.確定給付企業年金・基金型へ移行
  6. 厚生年金基金:企業年金連合会
  7. 確定拠出年金(個人型):iDeCo対応金融機関

もともとは厚生年金基金が存在していましたが、代行返上して3階部分のみを運用する企業年金基金に生まれ変わったようです。これによって厚生年金基金への加入はなくなりましたが、厚生年金基金から受け継がれた確定給付企業年金・基金型として存続しており、加えて確定給付企業年金・規約型も用意されたため、2制度が併存することになりました。その後、規約型部分は確定拠出年金(企業型)へ移行しましたが、すでに規約型へ支払った部分は移管されることなく、そのまま規約型年金から給付されることになりました。こうして、4制度から給付を受けることになったようです。

年金受給見込額の確認方法

国民年金・厚生年金以外は個別の基金・企業ごとの対応になるため、私の例を中心に書いていきます。

国民年金・厚生年金

日本年金機構のねんきんネットにログインすることで確認できます。新規登録の手続き後、日本年金機構から郵便でログイン情報が送られてくるまでは使えないので、初回利用まではやや時間がかかります。

ログインできたら「年金見込額試算」というページで見込額を計算でき、試算結果は名前をつけて保存することもできます。

ねんきんネット

資産結果はこんな感じ。ここには3階部分は含まれていません。過去に厚生年金基金に加入していたとしても、代行返上済みの場合は通常の老齢厚生年金として表示されるようです(基金代行部分とはならない)。

年金試算額

確定給付企業年金・基金型

私の場合、企業年金基金の申請・照会システムが用意されており、ログインすると年金受給額の試算ができました。正直大した額じゃありませんでしたが、厚生年金部分の試算も同時になされており、ねんきんネットでの試算と大きく離れてはいないことが確認できたので計算結果に自信が持てました。

確定給付企業年金・規約型

この制度は確定拠出年金(企業型)に移行されたため、ほとんど社内に情報が残っていませんでした。専用のシステムや試算ページもなく、受給額の想定もまったくできない状況です。退職金積立額の3割を年金原資にしており、退職手当の累積積立額は毎年通知されてくるのですが、通知額が年金原資を含んでいるのかもわかりませんし、最終的な給付額も不明です。会社に直接問い合わせる予定です。

確定拠出年金(企業型)

最近大々的に導入されたこともあり、充実したポータルサイトと運用指図用のシステムが用意されています。受給額は運用状況に左右されるため、受給額の試算等はできませんでした。ちなみに外国株式のインデックスファンドで運用していますが、現在のところ赤字です。

まとめ

1・2階部分はともかく、3階部分がとても複雑です。福利厚生の充実を謳った企業ほど採用している制度も多く、また制度の改変によって廃止になったと思われた年金も、給付を行うためだけに存続していたりして非常にわかりづらく、思っていたより多くの年金制度が運営されています。私の場合も、まさか企業年金が4つもあって、それに全部入っているとは思いませんでした。私がiDeCoに加入できるかどうかはまだわかりませんが、iDeCoも含めると5箇所から年金支給されることになってしまいます。各種年金の受取方法を適切に選ぶためにも、一度は自社の制度を確認してみた方が良いですよ。

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