確定拠出年金の受け取りかたを考える

iDeCoで盛り上がりつつある確定拠出年金。税制メリットが大きく取り上げられていますが、受け取り方については明確なイメージがない人も多いんじゃないでしょうか。ざっくりと言えば、確定拠出年金の受け取り方には次の2種類があります。

  1. 一時金(一括で全額受け取り)
  2. 老齢給付金(少しずつ受け取る従来どおりの年金)

受け取り方で税額が変わる

これらのお金は受け取るときにも所得税や住民税がかかりますが、受け取り方ごとにそれぞれ「退職所得控除」、「公的年金に係る雑所得」の控除、が設定されており、ある程度の額までは税金がかからないようになっています。それぞれで控除額が異なる上、控除の対象になるのは確定拠出年金だけではなく、他の年金や退職金も含まれます。つまり、受け取り方によっては控除分をはみだして税額が増える可能性があるということ。逆に、なるべく控除の範囲に収まるような受け取り方ができれば、税額を減らすことができます。前回は控除の対象となる公的年金を確認したので、今回は控除の内容を確認して、有利な受け取り方を考えます。

年金・退職金にかかる税金と控除

年金として受け取る場合の控除

国民年金、厚生年金、厚生年金基金、各種企業年金は雑所得扱いとなり、他の所得と合算した上で受け取り時に所得税・住民税がかかりますが、収入額に応じて次のような一定額の控除があります。全額控除になるのは、65歳までなら70万円、65歳以上なら120万円までです。定年まで勤務した人ならまず間違いなく大幅に超えることになりますが、早期リタイアならかなりの部分が控除されると思います。

年金を受け取る人の年齢(a)公的年金等の収入金額の合計額(b)割合(c)控除額
65歳未満(公的年金等の収入金額の合計額が700,000円までの場合は所得金額はゼロとなります。)
700,001円から1,299,999円まで100%700,000円
1,300,000円から4,099,999円まで75%375,000円
4,100,000円から7,699,999円まで85%785,000円
7,700,000円以上95%1,555,000円
65歳以上(公的年金等の収入金額の合計額が1,200,000円までの場合は、所得金額はゼロとなります。)
1,200,001円から3,299,999円まで100%1,200,000円
3,300,000円から4,099,999円まで75%375,000円
4,100,000円から7,699,999円まで85%785,000円
7,700,000円以上95%1,555,000円

出典:国税庁

一時金として受け取る場合の控除

年金は一時金で受け取ることもできますが、この場合は退職所得扱いとなり、他の所得とは独立して所得税・住民税がかかります。なお、退職所得には退職金も含まれます。退職所得には次のような控除が設定されており、この控除を差し引いた額の半分が退職所得になります。ちなみに、年金を一時金として受け取る場合の勤続年数は、当該年金制度への加入期間となります。

勤続年数(=A)退職所得控除額
20年以下40万円 × A
(80万円に満たない場合には、80万円)
20年超800万円 + 70万円 × (A – 20年)

出典:国税庁

年金に比べると控除額がかなり大きいのが特徴で、20年めまでは勤続1年につき40万円、以降は1年につき70万円分が控除されます。一般的なサラリーマンの早期リタイアであれば、ほとんどの額が控除されるのではないでしょうか。

私の場合で具体的に考えると

前提

46歳で退職するものとします。また、厚生年金の受給開始年齢は、今後の制度悪化や繰り下げ受給等を考慮して75歳と想定します。確定拠出年金の受給開始時期は60〜70歳の間で選ぶことができるようです(運用会社によって異なる可能性があります)。

公的年金扱いになるもの

  • 厚生年金  :約130万円
  • 企業年金基金:20万円

厚生年金は一時金(退職金)として受け取ることができないので、全額が年金扱いなります。また、勤務先の年金制度のうち、企業年金基金は年金形態での支給しか対応していないので、これも年金扱いになります。これらをあわせると150万円となり、既に控除額の120万円を30万円分超えてしまっています。

退職所得扱いになるもの

退職金はその名のとおり、退職所得扱いになります。積立状況を確認したところ、退職時には次の額が支給される見込みです。

  • 退職金:1,350万円/勤続25年

勤続25年の場合、800+5×70=1,150万円が控除されます。超過部分の200万円の半分である100万円が課税対象に加算されることになります。100万の場合、税率は国税と住民税をあわせて約15%となるため、およそ15万円を支払う必要があります。

選択できるもの

確定拠出年金と規約型企業年金は、一時金で受け取れば退職所得扱いになり、老齢給付金として受け取る場合は年金扱いになります。以下の額は、退職後に積立を継続しなかった場合の金額です。

  • 確定拠出年金(企業型):230万円
  • 規約型企業年金    :200万円程度

これを年金で受け取るか一時金(=退職所得)として受け取るかを考えます。

年金として受け取る場合

まず年金として受け取る場合は、すでに公的年金控除の枠を使い切っており、さらに基礎控除枠の38万円もほぼ使い切っているため年金での受け取りはすべて税金がかかることになります。

一時金として受け取る場合

退職控除を利用することになるわけですが、退職控除を複数回(年)利用する場合、後から受け取った場合には重複した年度分を勤続年数から差し引いて、控除枠を計算する必要があります。もし2年連続で退職金を受け取った場合、2年目の控除枠は0になるわけです。

とはいえ、今回は退職金を46歳とかなり早期に受け取ることになるため、年金一時金の受取時期までの間に20年以上経過することになり、控除枠が800万円を超えます。このため、2つの年金をあわせた場合でもすべて控除しきることができるため、一時金として受け取った方が有利ということになります。

余った退職所得控除を有効活用する

先ほどは、退職後には年金積立を行わないと想定していましたが、実際には次のようにいくつかの選択肢があります。

  1. 放置(年金基金連合会で管理)
  2. iDeCoに移管して拠出はしない(運用指図者)
  3. iDeCoに移管して拠出する(加入者)

1や2の場合、積立額は230万円のまま(から手数料が少しずつ引かれていく)ですが、3の場合は積立額(≒受給額)を増やすことができます。いずれにせよ、受給開始年齢を65歳〜とすることで加入期間が20年近くになるため、800万円程度の退職控除枠が設定され、控除枠が350万円程度余ることになります。この枠を有効活用するなら、退職後は積立をiDeCoに移管して拠出を続けるのが良さそうです。退職後、年金受給までは大した収入は見込めないので、所得控除の効果は期待できませんが、運用益非課税のメリットはそのまま受けることができます。

仮に65歳で受け取るとした場合、加入期間は19年になるため、退職控除枠は7,60万円になります。46歳で引退してから20年弱で、760−430=230万円分の積立までは非課税で受け取れる計算になります。運用益が多少出ることを考えれば、19年間で200万円(=10万円/年)程度とかなり少額の拠出にはなりますが、人によっては有力な選択肢となります。

まとめ

  • 退職金と年金の受け取り予定額を確認し、控除枠があまっている方で確定拠出年金を受け取る
  • 早期リタイア者は、退職金(一時金)として受け取った方が有利な可能性が高い
  • 退職控除枠が余りそうなら、iDeCoで追加拠出が有効
類似ブログのランキング&応援はこちら

にほんブログ村 株ブログ 高配当株へ にほんブログ村 株ブログ インデックス投資へ にほんブログ村 株ブログ REIT・不動産投信へ

コメントを残す