住宅購入派と賃貸派の話が噛み合わない理由

定期的に流れてくる高級マンション大暴落記事ですが、そのたびに激しい戦いが繰り広げられています。最近の新ネタはこんな感じでした。

ついに始まった!「高級マンション」投げ売りから暴落の悲劇

こうした記事で勃発する戦いを見るたびに、住宅購入派と賃貸派でいまいち話が噛み合っていないなと感じています。これはいったいどこからくるんでしょうか。

要約&結論

  • 住宅購入派と賃貸派の対立は、重視する価値観の違いから起こる
  • 購入派:
    • 資産や収入に余裕がある
    • 投資効率やリスク回避は二の次
    • 居住快適性や地位財を重視
  • 賃貸派:
    • 投資リテラシーが高め
    • 投資効率やリスク回避を重視
    • 居住快適性や地位財は二の次
  • 住宅購入者を「投資家」の立場と「居住者」の立場に分けるとわかりやすくなる
投資家居住者
賃貸派・実需不動産は投資効率が悪い
・投資としては他に良いものがある
・居住快適性は大して重要でない
・地位財に関心なし
購入派・投資に大して興味がない
・住宅を投資と考える必要がないくらい余裕がある
・居住快適性が重要
・地位財に関心大

住宅購入に不可分な「投資家」的立場

居住用不動産を購入・居住する場合、物件に居住する「居住者」だけでなく、資金を調達して物件を入手する「投資家」の立場も漏れなくついてきてしまいます。これが話をややこしくしているように思います。以下に、両者をあえて分離した図を掲載します。

住宅購入者は、「投資家」の立場で住宅ローンを利用して銀行から資金を借り入れ、住宅を購入します。購入した住宅は「居住者」の立場の自分自身に貸し出し、家賃を受け取ります。税金の納付やローンの返済は「投資家」の立場から行います。

購入派は「居住者」としての価値観が強く、賃貸派は「投資家」としての価値観が強い。それぞれが重視する価値観を中心に持論を展開するため、話はなかなか噛み合いません。

購入派×投資家の利点と欠点

投資家の立場で見た場合、通常の不動産投資家と同様に資金をローンで借り入れますが、物件の貸出先は自分自身になります。また、税制上の扱いもかなり異なります。

利点

  • 資金調達が容易かつ低コスト
  • 入居率が常に100%

住宅購入者は、投資家としての立場で住宅ローンを利用して銀行から資金を借り入れます。この際、一般の事業ローンやアパマンローンに比べると審査は緩く、金利も低いのは大きな利点です。

購入した住宅は自分自身に貸し付けて、自分自身から家賃をもらいます。この際、通常の賃貸事業とはちがって、絶対に空室が発生しないのも大きな利点です。また、住宅ローン控除の形で節税することもできます(減価償却ほどではありませんが)。

欠点

  • 投資用に比べて物件は割高で、投資として見ると利回りが低い
  • 管理組合次第では修繕費の高騰や資産価値の下落が発生
  • 人口減や天災による追加出費・資産価値下落リスクあり
  • 減価償却による税制上のメリットを受けられない

しかしながら、実需(投資用ではなく直接住む用)の住宅は投資用と比べて外装・内装・設備等のグレードが高い反面、類似の投資用物件に比べると、20%程度高額です。

さらに、新築で購入した場合は購入直後に価格が下落することが多いです。このため、他に大きな資産がない限り、買った直後に債務超過になり、働いてローンを返済することで地道に債務超過を解消していくことになります。この債務超過状態が解消されない限り、物件を売っても銀行にお金を返せない(抵当権を外せない)ため、売ることもできません。つまり、給与収入が途絶えた途端に破産します。

利回りの面から見ると、実需住宅はグレードの高さほどの家賃を得ることができません。これは、家賃の大半が広さ、設備、駅からの距離で決まってしまうからです。よって、周辺家賃相場から換算した表面利回りは非常に低くなります。

また、マンションの場合は将来的な資産価値が管理組合の運営に大きく左右されます。管理組合がうまく機能しない場合、突然修繕積立金が増えたり、うまくメンテナンスされず、マンションの資産価値が大きく下落するリスクがあります。特に新築の場合は、管理組合がうまく機能するのか事前に知ることが難しいため、大きなリスクになります。

資産価値の下落リスクとしては、人口減の影響も考えられます。都心であれば緩やかかと思いますが、首都圏でも周縁部になると今後の人口減に伴って資産価値が大きく下落していく可能性が高いです。

さらに、地震や火災等の天災リスクも自ら対処しなければいけません。基本的には保険に加入することで対処することになりますが、このためには出費が必要になりますし、完全にカバーすることもできません

このように、住宅購入を投資としてみた場合、利回りが低く、リスクも高いため、あまり優良ではない案件ということになります。新築の場合はこれが顕著なことが多いです。

購入派×居住者の利点と欠点

利点

  • 内装・外装・設備のグレードが高く、居住快適性が高い
  • 内装の自由度が高い
  • コミュニティを形成しやすい

居住者の立場からすると、内装・外装のグレードが非常に高いことが大きな利点です。また、共用施設に利用価値があれば、さらに生活を豊かにすることもできるでしょう。分譲マンションなどは多くの場合、似た生活スタイルの住民でコミュニティを形成しているため、コミュニティを求める人にとってはこれがメリットとなる可能性はあります。これらがうまくはまれば、非常に満足度の高い生活を送れるでしょう。

欠点

  • 近隣者とうまくいかないリスクがある
  • 引っ越しに非常にコストがかかる

ただし、コミュニティとのつきあいがうまくいかなかった場合、居住地に紐付いたコミュニティは大きな欠点となる可能性もあります。その場合、引っ越しには大きなコストがかかりますし、負担が難しければ厳しい住環境で暮らし続けることになってしまいます。

購入派は、これら2つの立場が持つ利点と欠点をあわせ持っていると考えることができます。

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