賃貸と持ち家は支出面でどちらが有利か?差額運用の有無が大きな差異に

賃貸と持ち家にそれぞれ40年間住んだ場合(持家は時価で売却)に総支出金額がどうなるのか、いくつかのパターンに分けて整理・比較してみました。パターン分けの主な観点は以下の3点です。

  1. 賃貸時、持ち家での頭金諸費用相当を運用(税引前3%)するか
  2. 住宅価格の立地による下落度合いと住宅価格の違い
  3. ローンの変動・固定

なおこの記事は、以前長々と詳細に検討した以下の記事を簡潔にまとめたものになっています。

結論&要約

  • 差額の資金を運用(3%~)できるなら、賃貸がかなり有利
    • 頭金が多いほど運用額が増えるため、賃貸が有利に
    • 35年後、賃貸派は家が残らないかわりにまとまった金融資産が残る
  • 将来大きく下落する住宅の場合、運用するまでもなく賃貸が有利
  • 都心の下落しづらい住宅を超低利で購入できた場合に限り、賃貸に近い支出になる
1-5が持ち家、6-10が賃貸。運用がない場合はほぼ互角だが、運用を含めると賃貸が有利

具体的な条件と支出額は以下になります。計算には諸費用や税控除等も全て含んでいます。より詳細な条件は記事末尾を参照してください。

居住パターン総支出
1. 安価な持ち家:固定金利
・住宅価格 4,500万円
・住宅下落率 4%/年
73,729,604円
2. 安価な値下がりしない持ち家:固定金利
・住宅価格 4,500万円
・住宅下落率 2%/年(建物部分のみ)
58,049,180円
3. 都心の持ち家:固定金利
・住宅価格 6,000万円
・住宅下落率 2%/年(建物部分のみ)
71,826,547円
4. 都心の持ち家:変動金利
・住宅価格 6,000万円
・住宅下落率 2%/年(建物部分のみ)
55,752,003円
5. 都心の持ち家:現金一括
・住宅価格 6,000万円
・住宅下落率 2%/年(建物部分のみ)
58,988,463円
6. 賃貸:運用無し
・家賃 13万円
66,596,400円
7. 賃貸:3との差額単利運用(毎年家賃に充当)
・家賃 13万円
・初期運用額 600万
38,895,735円
8. 賃貸:3との差額複利運用
・家賃 13万円
・初期運用額 600万
20,423,743円
9. 賃貸:4との差額単利運用(毎年家賃に充当)
・家賃 13万円
・初期運用額 600万
48,291,635円
10. 賃貸:5との差額単利運用(毎年家賃に充当)
・家賃 13万円
・初期運用額 6,000万
6,444,890円

購入資金全額を運用にまわして借家に住んだ場合の650万から、ガンガン値下がりするマンションをローンで買った場合の7,370万まで、10倍以上の開きがあるのが恐ろしいですね。

差額運用した賃貸が経済的には総じて有利

支出の面で見ると、差額資金を税引前3%で運用できるなら、総じて賃貸が有利であることが見て取れます。将来下落する住宅なら運用を考慮するまでもなく賃貸が有利ですし、都心の下落しづらい高額住宅を超低利で購入した場合にやや近づいたかなぐらいです。

ただし、賃貸仕様の住宅と都心の高額住宅では地理的条件は似通っていても、居住性は段違いです。賃貸仕様でも居住性に不満がないのであれば、賃貸で通した方が支出面ではかなり有利ですが、居住性が気になる方は結局、お金を支払って分譲仕様の住宅を買うなり、借りるなりすることになるでしょう。

なお、この記事はあくまで支出を比較したものであり、賃貸と持ち家ではその他に様々なリスクや便益が異なりますので、以下のようにさらに多面的な検討が必要となるのは言うまでもありません。

  • 居住の快適性
  • 近隣住民リスク
  • 管理組合が機能不全となるリスク
  • 自然災害により建物が破損するリスク
  • 転勤等による転居リスク
  • 家族構成の変化により住居が過小・過大となるリスク
  • 世帯主が死亡した場合のリスク
  • 人口減少等により土地の利便性が低下するリスク
  • 高齢となった際に居住場所を確保できないリスク

個人的には、居住の快適性についてだけは持ち家に軍配が上がりますが、その他ほぼすべてのリスクへの耐性・対処コストについては賃貸が優れているように思います(高齢時の居住確保は需給面からも社会課題の面からも遠からず解決されていくと思います)。

居住快適性に見出す価値は人それぞれですので、あとはこの金額差とリスク&居住快適性を秤にかけて選べば良いと思っています。私の場合は物件のグレードがもたらす居住快適性はそこまで気にしないですし、親世代が住宅持ちで相続の可能性もあるので賃貸派です。

試算対象ケースの詳細

賃貸にかかる費用

ほぼ私が住んでいる物件を使っています😅10年ごとに4%家賃下落は私の実績でもありますし、2025年以降の人口下落も考慮して設定したものです。

  • 23区、駅近の1LDK〜2LDK(50〜60m2)程度の物件
  • 家賃は2023年時点で13万円
  • 転居は10年に1度、転居費用は30万円
  • 家賃は10年で4%ずつ下落
  • 家賃の変動は転居(10年)のタイミングで反映
  • 更新料は2年ごとに家賃の1ヶ月分
  • 管理費は3,000円、住居価格の影響が少なそうなので経年では変更しない
  • 火災保険料は年額5,000円

持ち家にかかる費用

  • 賃貸と同程度の立地・広さの新築マンションを想定
  • 取得時の手数料等は購入価格の5%
  • ローンの頭金は物件価格の10%
  • ローン返済は元利均等
  • 住宅ローン控除は全額適用(かなりの高所得を想定)
  • 固定資産税には住宅用地の減免、新築の減免は適用済み
  • 修繕積立金は18万円/年
  • 管理費は18万円/年
  • 火災保険料は8,000円/年
  • 地震保険は5年加入で建物価格に応じて算出
  • 自室の修繕費用は10年ごとに20万円
  • 転居は行わない
  • 持ち家を売却する際の手数料は売却額の5%
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