投資本の雑な感想:人生100年時代の年金戦略

周囲のリタイア志望民や社会保障に興味のある人たちの間で以前から評判が良かった本です。財政検証で年金議論が盛り上がったのを契機として、私の年金に関する理解に穴がないのか確認したくなったので読んでみました。

目次は以下です。序章~第1章で年金の現状と全体像を示し、2章で公的年金の活用方法、3章でiDeCoやNisaでのリスク資産運用方法を紹介していくというオーソドックスな流れです。

序章 「年金をいくらもらえるか」は自分の選択次第
(年金不安をあおる営業が増加;人生100年時代の最大の支えは「終身」でもらえる公的年金 ほか)
第1章 年金は人生のリスクに備えるお得な総合保険
(30分でわかる公的年金;誤解だらけの年金財政)
第2章 公的年金、フル活用のための実践術
(繰り下げ受給は老後の大きな安心材料;70歳まで厚生年金加入で働くと年金は大幅増 ほか)
第3章 運用で堅実に増やす―個人型・企業型DC徹底活用
(「長期・分散・低コスト」+「資産の置き場」が大切;現役時代に税金負担を減らしながら老後資金を作れる「イデコ」 ほか)

現制度の存続を前提とした堅実な内容

本書の基本的なスタンスは、政府方針を受け入れた上で個人の立場から最大限の活用方法を考える、というもの。そのため、財政問題や年金不信から年金制度が極端に変更され、前提がすべて覆る…といったことは当然ながら想定していません

ですので、仮に野党が政権を取ってイチかバチかの年金制度大改革なんてことになったらほとんど役に立たなくなる可能性もあります。その場合、根本から作り直した場合の副作用や、細かな粗をつぶすために必要な長い年月を考えると、それは巨大な災厄となるように思えますが…。

年金制度は根本的に間違っているのか?

他方で、週刊誌やテレビ、Twitter等では「根本的に年金制度を見直すべき」という声がわりと根強いように思います。私も昔は橘玲さんの本なんかを読んで「年金制度なんてとっととぶっ壊せ!保険料なんて払いたくない!」と思っていたものです。確かに、現時点でも欠陥や改正すべき部分は多く残っています(※)。

それにしても、「厚生年金保険料の半分は企業が出しているが、本来従業員の給与となったはずのものだから実質全て国民負担だ」とか「国年は非常にお得だが厚年は国年に補填されているので搾取されており抜けられるなら抜けるべき」とか…極論が跋扈し、頭からそれを信じて疑わない人で溢れています。

しかし、調べれば調べるほど日本の年金制度はまぁまぁよく出来ており、課題への対応もまぁまぁ適切に行われています。そうした内容も、ある程度丁寧に本書で説明されています。反面、ここまで積み重ねられてきた年金議論と制度改革を覆すに足るような代替案はほぼ見かけません。

※ 個人的には、マクロ経済スライドのフル適用がオプション試算から消えたのは大きな問題と思っていますし、名目賃金上昇率の想定も高すぎるとは思います。これらが財政検証で改定されるように圧力をかける必要はあるでしょう。

年金に詳しくない人には非常におすすめ

ともあれ、現行制度の下で個人が年金制度を利用するにあたって必要なことは、おおよそ網羅されているように感じました。

私が1年以上かけて少しずつ調べ、理解し、自身の計画に落とし込んできた内容がおおよそ一冊にまとまっており、ライフプラン・ファイナンシャルプランを考える人にとっては非常に良い本と感じます。制度自体が複雑なので慣れていない人は読むのも少し大変かもしれませんが、読む価値は十分にあるでしょう。

様々な例を挙げて損得の分岐点を示してくれているので、どういう受け取り方をすれば有利なのかある程度理解できると思います。私の場合も、私の母の受給方法選択がひどく損をしていることに気づきました。決めた当時、私は何も知らなかったのでどうしようもないのですが。。

知識の正しさを再確認できた本

私個人としては、リタイア計画立案のためにすでに相当年金に詳しくなっていた(FP2級も取得しましたし)ので、情報として知らない部分はほぼありませんでした。年金活用の方向性や注意点についても「あれ、私この本読んだことあったんだっけ…?」と思うほど似通ったものでした。

情報源は同じ政府資料なわけで、現制度の存続を前提にするなら、誰が考えてもだいたい同じ結論になるのは不思議ではありません。本当に常識的な内容なんです。。ただ、それが希少なのですが。。

繰上げ・繰下げや退職所得控除枠、公的年金控除枠を最大限利用して節税しながら年金を受け取る方法。住民税非課税世帯入りも狙う。
年金が減る、とは具体的に一体どういうことなのか。

年金はもらえない、年金制度はなくなる等と不安・不信を感じている人も、一度読んでみると良いのではないでしょうか。年金のどこに問題があり、どこが大丈夫そうなのかに関してより深い理解を得られ、改善に向けた議論もより建設的になると思いますよ。

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