早期リタイアにおける最大のリスク

山崎元さんがリタイアに必要な貯蓄率を計算するための記事を書いていましたが、運用益をあてにした早期リタイア志望者にはやや厳しい内容になっています。必要な貯蓄率を計算する式にはインフレ率も運用益も入っていないのですが、この理由を次のように述べています。

将来の、インフレ率も、運用利回りも、予想することは極めて難しいし、不安定です。例えば、一定のプラスの実質利回りを長期間にわたって仮定することは、必要な貯蓄に対して過度な楽観を持ち込む危険があります。

(1)生活設計には大まかに「人生設計の基本公式」を使い、(2)自分にとって許容可能なリスクの中で資産を運用し、(3)(儲かったり、損したりしたら)資産額の変化を基本公式に反映して必要貯蓄率を時々計算し直せばいい、というやり方が「現実的でかつ簡単だ」という結論に至りました。「長期投資なら、必ず儲かるはずだ」という宗教に頼るのは止めておきましょう。
毎年マジで貯めないとヤバイ金額はいくらか

これは、安定した給与収入が人生の終盤まで続くような、一般の定年退職者をターゲットにした話としては良いアドバイスだと思います。しかし、早期リタイア志望者にとっては、このアドバイスに従うのは苦しいところです。運用益を当てにせずにリタイアしようと思えば、現実的には達成できないほどの巨額の資産を作り出すか、生活費を異常に切り詰める、リタイア時期を大きく後ろ倒しにする、などしなくてはなりません。また、仮に資産を作れたとしても、早期リタイア後にまともな収入はありませんし、そうなってから「時々計算」した結果「やっぱりもっと貯蓄が必要だった」と分かったところで、もはやまともな条件で就労できない可能性が高く、方向転換も効きません。

結局のところ、早期リタイア者は本質的に ①資産価値の取り崩しや資産運用による収益は給与収入より安定性が低くなりがちで、これに頼った生活期間が長いほど見通しがきかなくなること②中高年でリタイアすると再就職は難しく給与も下がりがちで、一度リタイアすると再度安定した収入を得られないこと の2点を抱えており、これは早期リタイアを志望する限り何かしらの形で受容せざるを得ません。

本当のリスクは社会的な少数派になること

山崎さんは文中で「長期投資なら必ず儲かる」ことを宗教と言っていますが、これが宗教であるのなら、一般的な定年リタイア者が(早期リタイア者もですが)想定している「65歳に年金が支給される」や「インフレ率が常識の範囲内で収まる」も同様に宗教でしかなく、個々のリスク要因をどう見積もるかの話でしかありません。

しかし、実際に年金の支給条件が悪化したり、インフレ率が想定以上に上昇した場合には、普通の生活を歩んできた人たちが困窮して社会的に混乱しないように、何かしらの最低限の手当が行われることが期待できます。しかし、早期リタイアして運用益で暮らしている人に対しては、大した手当がなされない可能性があります。そうなった時に不満の声を上げたとしても、「自己責任」として社会的に黙殺されるか、むしろ糾弾される可能性の方が高いでしょう(最近の相対的貧困バッシングの話を見ると特にそう感じます)。そういう意味では、定年退職者は早期リタイア者に比べると見かけよりずっと経済的なリスクは低くなります。逆に言えば、自己責任と見なされる道を歩む少数派であることが、早期リタイアの最大のリスクです。

対応策としては、リタイア志望者の多くが模索しているように、リタイア後も何かしらの形で事業・給与収入を得られるようにするのが最も有力です。とはいえ、そのために望まない形で働くことになっては本末転倒なので、ほど良いバランスで適度に仕事ができるような方法を考えなければいけません。私はといえば、とりあえずは在宅でできる仕事を求めてランサーズやクラウドワークスで仕事を物色していますが、仕事を取るまでのプロセスが面倒すぎて続けられるか怪しい雰囲気。まだリタイア時期までには時間があるので、このテーマについては継続的に考えていこうと思います。

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