投資本の雑な感想:勘違いエリートが真のバリュー投資家になるまでの物語

バリュー投資家として有名なガイ・スピアの自伝的著作です。タイトルは”投資本”としていますが、これは一般の投資本によくあるような投資理論やその実例について説明した本ではありません。そうした内容を期待して読むと肩透かしを食らうのでご注意を。

本書はむしろ、彼が自身の厄介なメンタルと格闘し、失敗を繰り返しながら自分に合った投資スタイルを少しずつ身につけ、それを通じて自分が望む人生に気づいていくという物語です。大半の部分は投資を志す人が自分を重ねて楽しむ、ある種の bildungsroman(自己形成小説/成長小説)であり、おまけとして少しだけ彼が採用している投資ルールやツールが紹介されている、というのが近いと思います。

特徴的なタイトルからはある種のスノッブさを感じて敬遠する人もいるかもしれませんが、原題は The Education of a Value Investor、直訳すると「あるバリュー投資家の育成」といったシンプルなタイトルです。著者の語り口は率直で、自分を”真のバリュー投資家”などと名乗るような人物像からは程遠いものです。

自分を理解し、受け入れ、極める長い旅

ガイ・スピアはハーバード主席卒業のエリートで、過剰な自意識を抱えて無知のままウォール街の評判の悪い企業に飛び込み、最終的に挫折してしまいます。そこから自分が抱えるメンタルや考え方の問題に少しずつ気づいていき、自分を受け入れ、望むものを知り、近づくための長い旅がはじまります。

偏屈だった心を開き、自分の欠陥を受け入れ、それに対応できるようなマインド、習慣、環境を少しずつ構築していくことでガイ・スピアの人生は少しずつ好転していきます。その過程ではパブライのような無二の友やバフェットのような師も得て、彼らから人生にとって重要なことをいくつも気づかされていきます。

娯楽小説ほどの劇的な展開はありませんが、自身の欠陥や挫折を隠さず、師や友への好意を率直に語るガイ・スピアには好意を抱かずにはいられません。読み終わったときには、ガイ・スピアだけでなく、パブライやバフェットのことも好きになっているんじゃないでしょうか。

メンタルと投資の分かち難い関係

ここまでは本書を著者の成長物語の側面から見てきましたが、投資の側面からこの本が強く訴えかけてくるのは「適切なメンタルを維持できない限り、継続的に投資で成功し続けることは難しい」ということです。また「メンタルを変えることには一定の限界がある」ということがこの問題をさらに難しくします。人間の脳は狩猟採集時代の原始的な配線から逃れられないし、また生育の仮定で構築された空想上の現実も、想像以上に強固で抗うことが難しいのです。

私が最高の投資効率を追い求めることにほとんど興味を持てないのは、仮にそれが本当に最高の投資法だったとしても(それは誰にも一生わからないのではと疑っていますが)、自身のメンタルに適合していない限り、継続して投資を続けるのが難しかったからです。

なので、理論上リターンが良い手法を採用するとか、単に投資成績が良い人を真似するとか、そういうことにはあまり意味がないように感じています。投資は理論上最高のリターンを得られる手法1つだけあればいい、といった話は本当によく耳にしますし、そう言い切れる人はすごいとも思いますが、少なくとも私にはうまく当てはまりませんでした。

また、投資効率至上主義から離れたとしても、投資手法同士で優劣を競うのも不毛に感じます。例えば、ある人にとってはインデックス自動積立でほったらかして市場リターンを得ることが最適だったとしても、別の人に取ってはこの退屈さは耐え難いかもしれません。その場合、彼のメンタルに合った別の環境やルール、手法(トレードかもしれないし、バリュー投資かもしれない)を模索することはむしろ適切だと思います。

要するに、自身の心と喧嘩しながら(もしかしたら短期間)最高のリターンを得るより、自身の心に沿った形で長期的にそれなりのリターンを得る方が長い目で見て利益の面でも人生の面でも良い結果を得やすいというのが私の考えです。この本を読み、ガイ・スピアが苦しみながらも似た考えに到達していることを知り、とても共感し、また勇気づけられもしました(もちろん投資の技量は天地の差といっても足りませんが)。

投資のためのツール

投資ルール

スピアは、投資にあたってのルールをいくつか定めています。ルールといっても”10%で損切りする”といったトレードの細かいルールではなく、頻繁にマーケットを見ない、とか、人に薦められた金融商品は買わない、といった行動原則のようなもので、自身のメンタルが意図せず引き起こす悪影響を軽減し、自分をうまくコントロールし続けるためのものです。

  1. 株価は頻繁に見ない
  2. 人に薦められたものは買わない
  3. 経営陣とは話をしない
  4. 投資の調査は正しい順番で行う
  5. 自分の投資アイデアの相談は下心がない人だけにする
  6. マーケットの取引時間中の株を売買しない
  7. 株を買った後に下がったら、二年間は売らない
  8. 現在の投資について語らない

私達のメンタルのうち、生物としてハードコードされている部分は共通なため、この部分に関するルールは全員で同じものを利用できますが、生育過程で構築された空想上の現実は個々に異なるのでこちらに関するルールは単純に真似てもうまく働く保証はありません。また、投資への取り組み状況も個々に異なるため、結局は自分のメンタルや投資と向き合い、自分に適したルールを作り上げる必要がありそうです。

私自身のルールは以下の2つぐらいしかありません。スピアの4、7、8は私も採用したいと考えています。

  • 多くの人が話題にし、群がり、急激に上昇している金融商品には近づかない
  • 人に薦められた商品は買わない(これだけはガイスピアと同じ…)

チェックリスト

明らかかつ予測可能な間違いを避けることが目的のもので、投資の最終判断の直前に自分の脳が明らかな間違いに気づかず決定を下してしまうのを防ぐ役割を果たします。リストの内容は個人の経験によって大きく異なります。例えばスピアの場合、投資した企業のCEOが個人的な金銭トラブルを抱えていたことから、正しい経営判断ができなくなってしまった経験から、以下のようなチェック項目を抽出していました。

主な経営陣のなかに、株主の利益のために行動する能力に影響を及ぼすほどの個人的な問題を抱えている人はいないか。また、経営陣が過去に利己的でバカげた行動をとったことはないか。

パブライやスピアは、投資仲間を集めて過去の失敗をすべて集め、そこからルールを抽出したそうです。残念ながら私には投資仲間がいないので・・・自分の失敗から1つずつ作っていくしかなさそうです。

投資の実践的なテクニックが得られる本ではないという意味で、投資本として万人におすすめできる本ではないんですが、メンタルとの付き合い方に苦慮している人や、そのために工夫を重ねている人、重ねてきた人にとっては非常に刺さる本だと思います。

あ!帯にでかでかと書いてある「バフェットとのランチ権を65万ドルで買った男!」は、嘘とは言わないまでも半分詐欺みたいなもんだと思いましたよ!

 

類似ブログのランキング&応援はこちら

にほんブログ村 株ブログ 高配当株へ にほんブログ村 株ブログ インデックス投資へ にほんブログ村 株ブログ REIT・不動産投信へ

投資本の雑な感想:史上最強の投資家 バフェットの財務諸表を読む力

バフェットが永続的優位性を持つ企業を選び出す際には、財務諸表のどこを見ているのか、58のルールでわかりやすく説明した本です。思ったよりもかなり薄く、読むだけならすぐ終わりました。

永続的優位性は財務諸表のどこに表れるのか

永続的優位性のヒントとなる項目をざっくりサマってメモしておきます。

ちなみに、この本ではあくまで永続的優位性を持つ企業を見つけ出すことを目的としているため、常に「企業が何かしらの永続的優位性を持っているとしたら、それは財務諸表のどこにどのような形で表れるか?」という観点で財務諸表を確認しています。それ以外の目的で分析したい人は別の本を読んだほうが良いと思います。 “投資本の雑な感想:史上最強の投資家 バフェットの財務諸表を読む力” の続きを読む

類似ブログのランキング&応援はこちら

にほんブログ村 株ブログ 高配当株へ にほんブログ村 株ブログ インデックス投資へ にほんブログ村 株ブログ REIT・不動産投信へ

投資本の雑な感想:テンプルトン卿の流儀

テンプルトン卿ことジョン・テンプルトンは、有名な格言の数々を残した伝説的なバリュー投資家。本書「テンプルトン卿の流儀」では、テンプルトン卿の投資人生を通じ、バーゲンハンターとしての投資スタイルが描き出されています。ちなみに著者であるローレン・C・テンプルトンはジョン・テンプルトンの大姪であり、彼女から見たテンプルトン卿として描かれています。

あまりに有名な格言の数々

テンプルトン卿の残した格言の数々はあまりに有名であり、投資についてある程度調べたことがある人なら、聞いたことあるものが多いと思います。例えば… “投資本の雑な感想:テンプルトン卿の流儀” の続きを読む

類似ブログのランキング&応援はこちら

にほんブログ村 株ブログ 高配当株へ にほんブログ村 株ブログ インデックス投資へ にほんブログ村 株ブログ REIT・不動産投信へ

投資本の雑な感想:ダンドー/モニッシュ・パブライ

Twitterでアジデン氏が何度も勧めていた本で、著者のモニッシュ・パブライは、バフェットの信奉者として知られたバリュー投資家です。この本、名前を聞いたことはありましたが、実際に読んだことはありませんでした。図書館で調べてみたところ、誰も借りていなかった(悲しい…けど、置いてあるのも不思議)ので、取り寄せて読んでみました。

ダンドーとは

「ダンドー」というインドの言葉は、英語では「ビジネス」と訳されますが、実は単なる「ビジネス」ではなく、彼らがビジネスに対して持っている独特の態度を含んでいます。それは、リスクを最小にしながらリターンを最大にすること。合言葉は「コインの表なら勝ち!裏でも負けは小さい!」

ダンドー投資はバリュー投資の一種

本書の投資スタイルは王道的なバリュー投資で、企業の本質価値を将来取り出し可能なキャッシュの割引現在価値として算出し、取引価値と比較して十分割安であれば(安全域が確保されていれば)投資する、というわりと聞き慣れたものです。

私はグレアムの「証券分析」も未読ですし、こうしたバリュー投資の王道的手法については概要を聞きかじった程度で、具体的な手法はあまりよくわかっていませんでした(どうせ将来キャッシュフローなんかわからんし…みたいな)。

本書では、自身のファンドでの投資経験からいくつかの企業を取り上げ、具体的に企業価値を算定して投資判断する例を示しており、現実での割り切り方を知ることができて非常に参考になりました。

投資有無や投資金額の判断では、今後考えられるシナリオを描き出し、それぞれの損益と実現可能性を導出しているのも興味深いです。バリュー投資家はみんなこんな感じでやってるんですかね?投資金額の決定には、ケリー基準を用いていました。

ダンドーフレームワーク

基本的には先程述べたようなバリュー投資スタイルですが、ダンドーではさらに細かな行動原則として次の9項目が提示され、ダンドーフレームワークと呼ばれています。

  1. 新規ではなく、既存のビジネスに投資する
  2. シンプルなビジネスに投資する
  3. 行き詰まった業界の行き詰まったビジネスに投資する
  4. 永続的な塀を周囲に備えたビジネスに投資する
  5. 厳選した少数に賭ける、大きく賭ける、たまに賭ける
  6. 裁定取引に固執する
  7. 常に安全域を確保する
  8. 低リスクで不確実性の高いビジネスに投資する
  9. 革新的なビジネスよりも成功者をマネたビジネスに投資する

これらはすべて、「コインの表なら勝ち!裏でも負けは小さい!」につながるものです。多少レベル感の違ったものが混じっているように思うので、これらの原則を理解しやすいようにさらに3つに分けて考えてみます。

バリュー投資の基本原則

2. シンプルなビジネスに投資する
4. 永続的な塀を周囲に備えたビジネスに投資する
5. 厳選した少数に賭ける、大きく賭ける、たまに賭ける
7. 常に安全域を確保する

これら4つはバリュー投資の原則を引き継いだものであり、おなじみの話と言っていいと思います。

シンプルなビジネスに絞ることで、企業の本質価値をブレなく正確に算出しやすくする。永続的な塀によって、長期にわたるリターンを保証する。投資価値のあり、信頼できる数少ない企業を見つけたときだけ、大きく賭ける。安全域によって損失の可能性を劇的に減らし、リターンを高める。どれもバフェットが繰り返し述べていることです。

枯れた投げ売りビジネスを狙う

1. 新規ではなく、既存のビジネスに投資する
3. 行き詰まった業界の行き詰まったビジネスに投資する
9. 革新的なビジネスよりも成功者をマネたビジネスに投資する

これらも多くのバリュー投資家が実践してきたことではありますが、パブライは特に既存ビジネス・安定したビジネス・二番煎じのビジネスにより大きな価値を見出しているようです。

これは、自身が新規ビジネスで失敗した経験や、インドの先達たちが行ってきたモーテルや鉄鋼ビジネスからの影響を感じさせます。GoogleとMicrosoftどちらに投資するかといえば、迷いなくMicrosoftと話すほど、パブライの姿勢は筋金入りです(Microsoftは革新は不得意ですが、あらゆる既存ビジネスをマネて打倒する能力を高く評価しているようです)。

不確実性を味方につける

8. 低リスクで不確実性の高いビジネスに投資する

私は個人的に、これがダンドーを凝集した核心的な原則だと感じています。低リスクで不確実性の高いビジネスに投資するということは、要するに「コインの表なら勝ち!裏でも負けは小さい!」を実践しろということで、ダンドーの合言葉そのものです。そして、この「コインの表なら勝ち!裏でも負けは小さい!」の状態は、タレブが導入した反脆弱性(が依拠するオプション性)そのものでもあります。

期せずして立ち現れる反脆弱性

反脆弱性はブラック・スワンのタレブが導入した概念で、ランダム性や変動から利益を受ける性質を持つものです。この性質を得るにはいくつかの方法がありますが、ダンドーフレームワークは反脆弱性に対応するための方法に驚くほど近いです。

  • 冗長性を保つ
    • → 7. 常に安全域を確保する
  • 時の試練に耐えたものを選ぶ
    • → 1. 新規ではなく、既存のビジネスに投資する
    • → 9. 革新的なビジネスよりも成功者をマネたビジネスに投資する
  • 凸効果を受けられるようにポジショニングする
    • → 8. 低リスクで不確実性の高いビジネスに投資する

反脆弱性に関しては、以下の記事(特に「反脆弱になるにはどうすればよいか」)を参照ください。

投資本の雑な感想:反脆弱性(上/下)/ナシーム・ニコラス・タレブ

凸効果を受けられるようなポジショニング

凸効果とは、特定の要素が減少した場合の損失は限定されており、増加した場合の利得は青天井となるようなものです。以下のようなグラフで表すことができます。

こうしたポジションを取ることができれば、変数Xの変動が大きければ大きいほど、すなわち不確実性が高ければ高いほど大きな利益を得ることができるというわけです。

ウォール街はリスクと不確実性を混同する

パブライは、ウォール街はリスクと不確実性を混同する、そこにチャンスがある、といいます。ウォール街の金融理論では、リスクを価格の標準偏差で判断しますが、この場合、価格が上振れする場合でもリスクが大きいということになります。

他方でパブライは、不確実性とリスクを別のものとして扱い、リスクはあくまで損失を被る確率として捉えます(世間ではこっちが主流です)。ウォール街は不確実性とリスクを混同し、単に不確実性が高いものをリスクが高いとして割安に放置しがちなため、そこに大きなチャンスが発生する、というわけです。

また、リスクは(本書で述べられているように)様々な方法で小さくできますが、不確実性をコントロールすることはできません。ウォール街は不確実性とリスクを混同した結果、不確実性をもコントロールしようとしますが、それがブラック・スワンを呼ぶことをタレブもパブライも知っています。だからこそ、不確実性から利益を得る方法が重要なわけです。

まとめ

実際にファンドで使われているというバリュー投資の実例を見ることができるだけでなく、反脆弱性を応用した事業や投資が紹介されており、非常に面白く読むことができました。200ページ程度の薄い本で、表紙もなんだか怪しい雰囲気ですが、バリュー投資の入門書としておすすめできる本です。

類似ブログのランキング&応援はこちら

にほんブログ村 株ブログ 高配当株へ にほんブログ村 株ブログ インデックス投資へ にほんブログ村 株ブログ REIT・不動産投信へ

投資本の雑な感想:ファイナンス思考/朝倉祐介

仕事上、まがりなりにも投資案件の評価が必要になったことから上司が急遽買ってきた本。私は直接携わってないものの、興味があったのでついでに読ませてもらった。著者は自称mixiを立て直した男。

ファイナンス思考とは

この本は、簡単に言うと『日本の企業はPLをよく見せようとしすぎている。より長期の企業価値向上を目指して行動すべき』ということを繰り返し述べている本。そのうえで、日本企業に必要なのは以下の2つとし、これをもとにしたファイナンス思考の必要性を訴えている。

  • 現在を知るための『会計』
  • 未来の戦略を立てるための『ファイナンス』

著者のいうファイナンス思考とは、『企業価値の長期的な向上のために、うまくファイナンス行動(資金調達、資金創出、資本配分、ステークホルダーとの対話)を取ること』と要約できる。

全般的に内容は浅め

しかし、この本では『ファイナンス思考』の実践方法について詳細に述べられることはなく、著者が考えるファイナンス思考を実践した成功企業の例がひたすら示されていく。そこで紹介されているのはAmazon、リクルート、JTなどだが、これらを実際読んでみると、別にファイナンス思考が成功の主要な要因には思えないし、外部情報に基づいているため分析が浅く、あまりおもしろくない。これなら、『バフェットからの手紙』の方がよほどためになる。

著者はmixiを立て直したことが自慢のようで、確かにファイナンス面、企業文化面で支えた側面があるところは間違いないだろうが、これも生存バイアスの範疇を出ていない。同じように頑張っても、mixiでいうところのモンストが生まれずに死んでいった企業など山ほどあるだろう。

ファイナンス思考自体について否定する気はさらさらないが、このテーマだけで一冊書ききるには無理があったのだろうな、と感じざるを得なかった一冊。著者自身もこうした点は自覚しており、企業に必要なもののうち、ファイナンス思考はせいぜい10%程度だと述べており、本書の中でもファイナンス思考に対する温度がまちまちで生煮え感が否めない

なお、この本だけでは会計やファイナンスについてごくごく初歩の知識しか身につかないため、この部分に期待する人は別の本を読んだほうがいい。

類似ブログのランキング&応援はこちら

にほんブログ村 株ブログ 高配当株へ にほんブログ村 株ブログ インデックス投資へ にほんブログ村 株ブログ REIT・不動産投信へ

投資本の雑な感想:まぐれ/ナシーム・ニコラス・タレブ

『ブラック・スワン』『反脆弱性』のタレブが記した初期の著作。テーマは「人はいかにランダム性に騙されるか」。タレブが目にしてきた、ランダム性に騙されている物事、それを煽る人やシステム、なぜそういったことが起こるのかを紹介しており、行動ファイナンス色が強い。また、ランダム性から恩恵を受ける人やそのポジショニングについても述べている。

こう書くと、「それって反脆弱性と同じなのでは?」と思われるかもしれないけど、確かにテーマとしては反脆弱性に包含されていると思う。

投資本の雑な感想:反脆弱性(上/下)

ただし、この本にはよりタレブの人生や人格が色濃く反映されていて、反脆弱性を読んだだけではいまひとつわからなかった彼の性格や、迷いながら辿った道のりが垣間見えて面白い。金融の事例も多めなので、投資本としても反脆弱性より読みやすいかもしれない。

  • なぜタレブは『反脆弱性』であぁまで学術界、銀行、クォンツ、マスコミ、医者などに対して攻撃的だったのか?
  • ネロとはいったい何者なのか?
  • タレブはトレーダーとしてどのようなトレードを行っていたのか?
  • ランダム性に騙される人間の脳が持つ欠陥とは?どう向き合えばよいのか?
  • タレブは自身の欠陥とどうつきあってきたのか?

ある意味訳者あとがきが一番おもしろいので、読み飛ばさないことをおすすめする。

類似ブログのランキング&応援はこちら

にほんブログ村 株ブログ 高配当株へ にほんブログ村 株ブログ インデックス投資へ にほんブログ村 株ブログ REIT・不動産投信へ

投資本の雑な感想:老後の資金がありません

50ぐらいの仲のいい部長さんから突然「これ面白かった」って渡された本。投資本・ハウツー本ではなく、50代の女性のお金と世間体にふりまわされる生活を描いた小説です。小説的なネタバレ部分には触れず、物語で発生する大きな支出と、なぜそれが発生したかに絞って紹介していきます。

あらすじ

主人公の篤子は夫と二人の子供持ちで、夫の定年を3年後に控えながら派遣で働いています。住宅ローンも繰り上げ返済を重ねて残り2年までにこぎつけ、教育費もようやく払い終わり、現金は手元に1,200万円。退職金も1,000万円程度は出る見込みで、余裕があるわけではありませんが、なんとか乗り切ってそこそこの老後生活が見えてきました。

そう安心しかけた矢先、娘の結婚式に300万円援助する話が持ち上がったのを皮切りに、次々と不測の支出に見舞われ、あっという間にお金がなくなっていきます。追い詰められた篤子は…というお話。

普通に倹約してお金を貯めてきた家庭が、どういう経緯であっという間にお金をなくしてしまうのか、その一端を垣間見ることができます。私は相当ケチだと思いますが、正直これは「自分でもお金出しちゃうかもしれないなぁ…」と思うところがいくつもありました。早期リタイア志望で、今後発生するであろう不測の支出を具体的にイメージしていきたい人なら、結構参考になると思います。 “投資本の雑な感想:老後の資金がありません” の続きを読む

類似ブログのランキング&応援はこちら

にほんブログ村 株ブログ 高配当株へ にほんブログ村 株ブログ インデックス投資へ にほんブログ村 株ブログ REIT・不動産投信へ

投資本の雑な感想:反脆弱性(上/下)/ナシーム・ニコラス・タレブ

「反脆弱性は投資本じゃないだろ!」という罵声が聞こえるようです。すみません、すみません・・・。この本は、100年に1度と言われた2008年の金融システム崩壊を予見したとも言える「ブラック・スワン」の後継的著作です。

私の拙い理解では、この本は「反脆弱性」という新たな概念を導入することで、想定外の事象(=ブラック・スワン)があふれるこの世界をよりよく理解し、対処できるようにするためのものです。

ざっと読んだ程度でいまいち消化しきれていない感があるので、理解を深める意味も込めて (1)書籍内容のメモ、(2)投資や生活への応用、の2つに分けて書いています。(1)はかなり抽象的な内容で、直接的には投資と関係ないです。 “投資本の雑な感想:反脆弱性(上/下)/ナシーム・ニコラス・タレブ” の続きを読む

類似ブログのランキング&応援はこちら

にほんブログ村 株ブログ 高配当株へ にほんブログ村 株ブログ インデックス投資へ にほんブログ村 株ブログ REIT・不動産投信へ

投資本の雑な感想:金持ち父さんの若くして豊かに引退する方法/ロバート・キヨサキ

やるゲームがなくなって暇になったので、なんとなくロバキヨの本を引っ張り出してきました。ロバキヨの本で一番有名なのはもちろん「金持ち父さん貧乏父さん」ですが、最近誰かが「一冊だけ読むなら『若くして豊かに引退する方法』」と勧めていたので、これを読んでみました。

昔は超人に見えていたロバート・キヨサキ

実はこの本、出版当初に20代で一度読んでます。当時この本を読んでいたときには、ロバートキヨサキが非常に高いファイナンシャル・リテラシーを持ち、なるべくして金持ちになった…という印象が強かったんですが、改めていま読み直してみるとだいぶ異なった印象を受けます。

彼が経済的自由を達成することになった最終的な要因は、日本のバブル崩壊に伴ってハワイの不動産が暴落し、そこで安く不動産をかいまくれたから、というのが通説ですが、その不動産投資のスキルや規模について見れば、現在の洗練されたサラリーマン大家と大差ない、もしくはやや低いくらいに感じます。 “投資本の雑な感想:金持ち父さんの若くして豊かに引退する方法/ロバート・キヨサキ” の続きを読む

類似ブログのランキング&応援はこちら

にほんブログ村 株ブログ 高配当株へ にほんブログ村 株ブログ インデックス投資へ にほんブログ村 株ブログ REIT・不動産投信へ

投資本の雑な感想:ウォール街のランダム・ウォーカー/バートン・マルキール

某梅屋敷の人も大好きな、投資本の鉄板と言える「ウォール街のランダム・ウォーカー」。一年ぐらい前に図書館で予約していたようですが、それ自体すっかり忘れていました。今週突然「ご用意できました」と通知が届いたので、取りに行って読んでみました。読むのは実ははじめてです。

基本的な主張はみなさまご存知のとおり、とにかく時価総額加重平均のインデックス投資をしておけば間違いないよ、というもの。個人的にも、こうした主張には大筋では異論はありません。この主張を、歴史上登場してきたさまざまな投資アプローチと比較しながら検証していく、といった形です。

また、やりたければ一部の資産で割安な個別株を買ってみるのも否定はしないよ、とも言っていて、このあたりのバランス感覚も絶妙です。

あまりにも有名な本筋部分はおいといて、今回は私がひっかかったポイントについていくつか書いていきます。 “投資本の雑な感想:ウォール街のランダム・ウォーカー/バートン・マルキール” の続きを読む

類似ブログのランキング&応援はこちら

にほんブログ村 株ブログ 高配当株へ にほんブログ村 株ブログ インデックス投資へ にほんブログ村 株ブログ REIT・不動産投信へ