投稿

8月, 2020の投稿を表示しています

サーチ・インサイド・ユアセルフ:瞑想は人をどこに導くのか

イメージ
原題は Search Inside Yourself The Unexpected Path to Achieving Success, Happiness(and World Peace)。Googleが社内で長年行ってきた、マインドフルネスという瞑想に似た行為を会得するための知識やプラクティスを整理し、プレゼントとして世に放った本。目次は次のようなもの。 序文(ダニエル・ゴールマン) まえがき(ジョン・カバットジン) イントロダクション サーチ・インサイド・ユアセルフ 1.エンジニアでさえEQで成功できる――EQとは何か、EQはどうやって育めばいいか 2.命がかかっているかのように呼吸をする――マインドフルネス瞑想の理論と実践 3.座らないでやるマインドフルネス・エクササイズ――マインドフルネスの恩恵を座った姿勢以外にも広げる 4.100パーセント自然でオーガニックな自信――自信につながる自己認識 5.情動を馬のように乗りこなす――自己統制の力を伸ばす 6.利益をあげ、海を漕ぎ渡り、世界を変える――セルフモチベーションの技術 7.共感と、脳のタンゴ――相手を理解し、心を通わせることを通して共感を育む 8.有能であってしかも人に愛される――リーダーシップと社会的技能 9.世界平和への三つの簡単なステップ――SIYの裏話 エピローグ 空き時間に世界を救おう 謝辞 推薦図書と参考映像 監訳者による解説 マインドフルネスとは何なのか マインドフルネスは、日本語では「瞑想」と呼ばれたり、そのまま「マインドフルネス」と呼ばれたりしているが、実態がとてもわかりにくいように思う。普通の日本人が「瞑想」という言葉から受けるイメージと、マインドフルネスが実際に行っていることはかなり違った印象を受ける。少なくとも私はそうだった。瞑想というのは、何か深遠な…この世の真理のようなものを悟るために行う活動であって、Googleが社内で行う類のものとは思えない。 しかし、実際にSIYを読み、「マインドフルネス」に飾り付けられた様々な装飾品を取り除いてみると、その根本は言葉のとおりマインドフルであること…注意を払う、意識すること、に過ぎないとわかる。注意を払う対象は主に、自分自身。自分が今何を感じているか、自分の肉体が自分をどう動かそうとしているかについて注意を払うことで、人間という生物に組

認知資源はなぜ重要なのか?:欠乏の行動経済学

イメージ
少し前、 認知資源関連の話題が私のTLでプチ流行 しました。スマホの通知を切るとか、着る服をあらかじめ決めておくとか、不要なものを捨てて整理整頓することで、認知資源…意思の力を無駄遣いしないようにする、といった話ですね。 私も社会人になった頃から少しずつ取り組んできたことで、前のブログではお金を貯めるための手段としても紹介していました。金銭管理の自動化にはじまり、家事の自動化やToDoサービスを使ったタスク管理の外部化などです。これは 蓄財にとても有効と感じてはいましたが、一体なぜ重要で、どのように効果を発揮するのかうまく説明できないまま でいました。 今回図書館から届いた『いつも「時間がない」あなたに 欠乏の行動経済学』、読むまでは時間の有り余っている今の私には不要な本かとも思っていましたが、読んでみると認知資源に対する疑問への答えが詰まっていました。 欠乏の行動経済学 この本は希少性・欠乏の行動経済学と題されていますが、ここで 鍵となる概念は「欠乏」「集中ボーナス」「トンネリング効果」「トンネリング税」「スラック」「ジャグリング」「処理能力」 です。何がなんだかわからないと思うので、これらの概念について触れながら要旨を述べていきます。 リソースの欠乏:底なし沼の入口 お金、時間といったリソースが欠乏した時、ヒトに何が起きるのかを説明しています。 お金・時間・人間関係といったリソースが 「欠乏」 すると、人は目先のリソース調達に意識を集中し、それ以外のことは目に入らなくなります( 「トンネリング効果」 )。これにより、短期的には平時より良い成果を上げることが多いです( 「集中ボーナス」 )。 視野狭窄に陥ると、目先の解決手段(サラ金で借金する、家族行事を後回しにする等)がもたらす悪影響も目に入らなくなり、後に負債となって将来のリソースを減らしてしまいます( 「トンネリング税」 )。ボーナスより税が大きい場合、時が経つにつれてどんどん状況が悪化していきます。 サラ金で借金を重ねて破産していく人の姿が簡潔に描かれていますね。また、金銭の不足だけでなく、常に大量の締切や打ち合わせ予定に追われて時間が欠乏した人も似た行動を取ることがわかっています。 処理能力の枯渇:底なし沼へのひと押し トンネリングによる視野狭窄が起きるのは、人が持つ情報処理能力・認知資源( 「処理能力

投資本の雑な感想:千年投資の公理

イメージ
以前から良い評判をきいていたのですが、この度ついに隣接区の図書館から入手しました。原題は"The Little Book That Builds Wealth"。邦題はちょっと大げさな感じですね。目次は次です。 序文――行動計画 第1章 経済的な堀――経済的な堀の定義とそれを使って優れた株を選ぶための方法 第2章 誤解されている堀――幻の優位性にだまされるな 第3章 無形資産――棚から取り出せるものではないが、間違いなく価値がある 第4章 乗り換えコスト――しつこい顧客は面倒ではなく黄金だと思え 第5章 ネットーワーク効果――非常に強力で、1章を割く価値がある 第6章 コストの優位性――賢くなるか、近くなるか、ユニークになれ 第7章 規模の優位性――きちんと把握していれば、大きいことは良いことだ 第8章 侵食される堀――優位性を失って立ち上がれない 第9章 堀を探す――外はジャングルだ 第10章 ビッグボス――経営陣の影響は思ったほど大きくない 第11章 肝心なこと――比較分析の五つの例 第12章 堀の価値はどのくらいか――最高の企業でも高く買いすぎればポートフォリオを傷つける 第13章 評価のためのツール――割安の株を探す 第14章 いつ売るか――賢い売りが高リターンにつながる 結論――投資は数字だけではない この本は、その紙幅の大半を1の企業が持つ特徴…"堀"について割いています。堀・モートはバフェットの中後期投資の核であり、長期投資の王道と言えます。ここ最近のハイテクの強さとも重なるものがありますね。本書が推奨する投資のスタイルは、次のようにまとめられています。 長期間にわたって平均以上の利益を上げることができる企業を探す その企業の株価が本質的勝ちより安くなるまで待ってから買う 企業価値が低下するか、株価が割高になるか、さらに優れた投資先が見つかるまで、その銘柄を保有する。保有期間は、月単位というよりも年単位で考える この手順を必要に応じて繰り返す 堀の重要性とその種類 堀が重要なのは、堀がもたらす高いROCを長期にわたって維持する企業は、単純にDCF評価で企業価値が高くなるからです。その分株価が高ければ投資としては意味がないため、妥当な企業価値を算出する方法も身に付ける必要がありますが。 堀は次の4種類とされています

投資本の雑な感想:株式投資で普通でない利益を得る

イメージ
※ 前ブログからのサルベージです ジャンル的には成長株投資で、原題はCommon Stocks and Uncommon Profits。初版は1958年ですが、訳本の元となったのは第二版(おそらく1959-60年に出版)で、いくらか改訂されています。パブライがガイ・スピアに対して「グレアムはマスターしているが、フィッシャーはそうでもないのが問題だ」と言っているのを耳にし、これは読んでおかねば、と思い入手しました。 目次です。かなり長く見えますが、息子であるケン・フィッシャーのエッセイ部分がかなり長く、本編は200ページにも満たない薄い本です。 監修者まえがき まえがき――父の本から学んだこと ケネス・L・フィッシャー 父について ケネス・L・フィッシャー まえがき 第1章 過去から学べること 第2章 「周辺情報利用法」から分かること 第3章 何を買うべきか――株について調べるべき一五のポイント その会社の製品やサービスには十分な市場があり、売り上げの大きな伸びが数年以上にわたって期待できるか その会社の経営陣は現在魅力のある製品ラインの成長性が衰えても、引き続き製品開発や製造過程改善を行って、可能なかぎり売り上げを増やしていく決意を持っているか その会社は規模と比較して効率的な研究開発を行っているか その会社には平均以上の販売体制があるか その会社は高い利益率を得ているか その会社は利益率を維持し、向上させるために何をしているか その会社の労使関係は良好か その会社は幹部との良い関係を築いているか その会社は経営を担う人材を育てているか その会社はコスト分析と会計管理をきちんと行っているか その会社には同業他社よりも優れている可能性を示唆する業界特有の要素があるか その会社は長期的な利益を見据えているか 近い将来、その会社が成長するために株式発行による資金調達をした場合、株主の利益が希薄化されないか その会社の経営陣は好調なときは投資家に会社の状況を饒舌に語るのに、問題が起こったり期待が外れたりすると無口になっていないか その会社の経営陣は本当に誠実か 第4章 どんな銘柄を買うべきか――自分のニーズに合う株を買う 第5章 いつ買うべきか 第6章 いつ売るべきか――そして、いつ売ってはならないか 第7章 配当金をめぐるさまざまな言い分 第8章 投資家が避けるべき五つ

投資本の雑な感想:1億円貯める方法をお金持ち1371人に聞きました

イメージ
※ 前ブログのサルベージです 原題は『The Millionaire Mind』。1億円持った人の考えをアンケートをもとに整理した本であって、1億円貯める方法が書かれているわけではありません。邦題はちょっとした詐欺ですね。以下が目次です。 序文 億万長者になるのは簡単だった 1 本当の金持ちってどんな人? 2 億万長者への30の質問 3 天才・秀才は金持ちになれない 4 チャンスとリスク、勇気と恐怖 5 金持ちになれる仕事、なれない仕事 6 金持ちになるための配偶者の選び方 7 買い物上手こそ金持ちへの道 8 金持ちの家をのぞいてみよう 9 億万長者のライフスタイル──現実と幻想 10 ミリオネア・マインドを身につけよう よくある自己啓発本+となりの億万長者 平たく言ってしまえばこの本は、 前半がよくある自己啓発本、後半が前著「となりの億万長者」のリプレイ です。 前半部分は特に読む価値が薄い いずれもお金持ちに対するアンケート結果を読み解いているのですが、前半はお金持ちが自己申告した自らの成功の秘訣を無批判に垂れ流し&筆者の都合の良いように自己解釈しており、 結果としてよくある成功者の自分語りに終始 しています。 本来なら、バイアスがかかりがちな成功者の自己申告ではなく、成功者が過去に取った行動や状態にフォーカスし、似た環境にあって成功しなかった者との比較を交え、本質的な成功要因を抽出するべきだったと思います。しかし、本書の前半部分はまったくそうはなっていないため、 ヤクザ映画を見て気が大きくなる効果以上のものは望めない と思います。 後半は隣の億万長者の改善版 後半は、アンケートの中でも現在の「行動」や「状態」にフォーカスしていることから、前半よりは多少マシになっています。 隣の億万長者との違い まず、 前著「となりの億万長者」は、億万長者の中でも純資産100万〜1,000万ドルに限定して調査した本 だった、ということは理解しておく必要があります。つまり、金持ちの中でも最も下位に属する人たちにフォーカスした本だったわけです。 前著を読んで 「お金持ちはみんな雇われ仕事で倹約してるんだ、起業家やエリートは浪費家でお金持ちになれないんだ」と妙な勇気をもらった人をよく見かけますが、普通に考えてそんなわけありません よね。 本書では、対象を1,000万ドル以上にも広げて

ホームオートメーション Version1.0

イメージ
ここまでいくつか取り組んできたホームオートメーションが一段落したので、いったん記録しておこうと思います。現状、設備は次のようになっています。 この設備を使って出来ることは、こんな感じです。 家電単体を操作する 一番シンプルなやつですね。Mac/iPad/iPhoneのApple Homeアプリ、iPhone/iPad/AndroidのGoogle Homeアプリからタップ、もしくはSiri、Googleアシスタントの音声で次の操作ができます。 エアコン ON/OFF 暖房、冷房、除湿の切り替え 温度変更 テレビ ON/OFF 音量の上下 消音 フロアランプ ON/OFF ダウンライト ON/OFF 色調変更 明るさ変更 スマートロック 解錠 施錠 単体の操作は正直あまり使っていませんね…一番使っているのは、テレビがうるさい時の音量下げかもしれません。 こんな時(よくあります)、MacのHomeアプリからポチポチして静かに音量を下げることができます。 家の状態を確認する Apple Homeアプリ、Google Homeアプリから家の状態を確認できます。操作対象の各デバイスに加えて、リビングの気温、シーン(デバイスの状態の集まり、仕事中、就寝中、リラックスタイム等)の確認ができます。 様々な場所から音楽・Podcastを再生する ダイニングのサウンドバーとリビングのPCスピーカーは Air Play対応しており、Mac/iPhone/iPadから音楽やPodcastの再生先として使う ことができます。こんなふうに使っています。 朝目が覚めると、最新のNHKニュースが枕元のBluetoothスピーカーから流れる 再生先をダイニングに変更しつつダイニングに移動 し、飲み物を飲んだり植物に水をやったり 洗面所で身支度体重測定、洗濯機等で 聴こえづらい場合は再生先をiPadに切り替え 再生先をダイニングのサウンドバーに戻し、落ち着いた音楽を流して 仕事を開始 ベランダ横のマッサージソファで休憩しながらiPadで音楽を再生 ボーカル曲等:PCスピーカーからAir Playで再生 環境音等  :サウンドバーからAir Playで再生 Macで再生したまま移動してきた場合はiPadのRemoteアプリで制御 料理中はサウンドバーからニュースを再生 寝室に移動したら、Bluetoot

投資本の雑な感想:市場サイクルを極める

イメージ
前のブログからのサルベージです。 原題は MASTERING THE MARKET CYCLE。誤解を恐れずものすごく平たく言えば、バイ&ホールドとタイミング投資の中間的アプローチで超過利潤を狙うものです。 テンプルトンのようなバーゲンハント志向のバリュー投資家が取る投資行動の、裏に潜む状況判断の枠組みを「サイクル」という概念を使って整理した本 といえます。 目次は次のとおり。 第1章 なぜサイクルを研究するのか? 第2章 サイクルの性質 第3章 サイクルの規則性 第4章 景気サイクル 第5章 景気サイクルへの政府の干渉 第6章 企業利益サイクル 第7章 投資家心理の振り子 第8章 リスクに対する姿勢のサイクル 第9章 信用サイクル 第10章 ディストレスト・デットのサイクル 第11章 不動産サイクル 第12章 すべての要素をひとまとめに--市場サイクル 第13章 市場サイクルにどう対処するか 第14章 サイクル・ポジショニング 第15章 対処できることの限界 第16章 成功のサイクル 第17章 サイクルの未来 第18章 サイクルの本質 4章~11章で相互に関連しあうサイクルについて説明し、12章~15章でサイクルをどううまく利用するかについて記載されています。 相互に影響し合う個々のサイクル 4~11章で説明される個々のサイクルは、市場や経済についてある程度詳しい人であればおおよそ知っていることばかりとも言えます。しかし、 こうした整理の仕方は思考のためのフレームワークとして非常に使いやすい です。 2019年10月現在、完全に憶測で置いてみた図 サイクルの中で特に 重視されているのは、リスクに対する姿勢のサイクル、投資家心理の振り子、そして信用サイクル です。これらは、ファンダメンタルの変化を大きく増幅する役割を果たすからですが、サイクル上で現在地を確認するのが比較的簡単、というのもあるかもしれません。 現在地のチェックリスト より使いやすく、チェックリスト形式になっているのが以下です。左右どちらが多いかによって、ポートフォリオを攻撃的にするか防御的にするかを検討します。 景気 堅調 低迷 見通し 明るい 暗い 貸し手 積極的 消極的 資本の需給 緩和 逼迫 資本 潤沢 不足 融資条件 緩やか 厳格 金利 低い 高い イールドスプレッド タイト ワイド 投資家

保有銘柄の適時開示情報をLINEに日々通知する

イメージ
適時開示情報を毎度自分から見に行くのが面倒だったので、1日に1度LINEにまとめて通知するようにしてみました。こんな感じです。 仕組み 定時起動したGoogle Apps Script上のプログラムが、①Google Sheetsで管理しているポートフォリオから保有銘柄の証券コード一覧を取得し、②証券コードごとにTDnetに問い合わせて適時開示情報を取得し、③IFTTT経由で④LINEに通知しています。 適時開示情報閲覧サービス:TDnet には公式のWeb APIがないため、やのしんさんが運営してくれているAPIを利用しています。 TDnet(適時開示情報)のWEB-APIプロジェクト(非公式)by Yanoshin もしこのAPIが廃止された場合は、自力でスクレイピングするか、速報性や情報の種類は変わってしまいますが、EDINETの公式APIに切り替える予定です。 動かしかた 1. Applet@IFTTT、 2. Google Apps Script  3. GAS起動トリガー の3つを作ります。 Applet@IFTTT作成 トリガーとしてWebhook、アクションとしてLINEを持つAppletを作ります。IFTTTの基本的な使い方はぐぐればたくさん出てくるので省略しますが、私の場合は次のようなAppletを作りました。送信された値を丸ごとLINEで通知する汎用のAppletです。 Webhookに送信するためのイベント名(上記ではnotify_to_me)とkeyは後で必要になるので控えておきます。keyは以下のDocumentのリンク先から確認できます。keyは個人ごとに払い出されているので、各自で確認します。 Google Apps Script 通知を受けたい銘柄の証券コード(4桁)のリストを記載したGoogle Sheetsを開き、メニューから [ツール] → [スクリプトエディタ] を選んで以下のコードを貼り付けます。冒頭の4つの変数は自分の環境にあわせて書き換えが必要なので、コメントを参照ください。なお、自分の環境でしか動かしていない&JavaScriptのコードも適当なので動かなかったらゴメンナサイ。 // 銘柄リストの記載されたシート名 var sheet_name = "xxxxxxx"; // 銘柄リストの範囲 v